■ヘラオオバコ(オオバコ科)
散歩の道すがら、土手道などで茶色い穂をたくさん立てているヘラオオバコを見かけます。地味な花ですが、目に止まってしまうのは、草刈り後で他の草が藁色(わらいろ)に枯れている中で、ヘラオオバコばかりが緑色の葉を茂らせて元気そうだからでしょうか。
ヘラオオバコ(箆大葉子)はオオバコ科の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物です。葉は根生葉(こんせいよう)で葉柄のほぼ無い葉が根元から放射状にたくさん斜上しています。この葉が箆型(へらがた)であることが、名前の語源のようで、葉は長さ20~30cm、幅1.5~3cmで縦に5本の深い溝があり、多少の白毛があります。花茎は高さ30~50cm、根元から立ち上がり、分枝はしないで茎頂に花序を一つ付けます。この花茎にも5本の溝が入っており、これらが十数本叢生(そうせい)(一カ所からまとまって生える)して株を作っています。花は白色の小花が穂状につき、下から咲きあがり、同時に穂の先も伸び続け、8月頃まで下方では種を結び、上方では順次蕾が開花を続けるので、穂は細長い形状に伸びていきます。
ヨーロッパ各地にはピンクのヘラオオバコが自生しているようで、日本でもプランタゴ・メディアの名前で園芸店では観賞用に販売されているようです。また、花粉症の原因にもなっているためか、繁殖力が旺盛なためか、日本では要注意外来生物に指定され、販売は禁止されているとのことです。一方、西欧では牧草や食用、ハーブに利用するなど人々と密着した野草との情報もあり、今後の利用法にも興味をそそられる野草です。
文・写真 中澤博子さん
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