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野草散歩(171)

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兵庫県新温泉町

■コスミレ(スミレ科)
コスミレ(小菫)はスミレの中では最も早く咲くので、春の使者と呼ぶにふさわしい野草だと思います。新温泉町には約20種のスミレが自生していますが、コスミレに出逢えるのは稀(まれ)なので、出逢うと感激します。数年前に初めて奥八田青下の村中の石垣に咲いていたのを見た時は、あまりの美しさにしばらく立ち去りがたく思いました。
特徴は他のスミレに比べて葉の幅が広く、三角状をしていることでしょうか。花色はまちまちで変異が多いということですが、私が見かけたのは綺麗な空色をしていました。花の大きさは長さ1.8cmほどで白っぽい色でしたが、中心に青い筋が数本入っているので、青色に見えました。後部の距(きょ)は白くて長く、後ろに反り返っています。コスミレは無茎種なので葉も花も根元から立ち上り、高さは6~12cmほどです。葉の基部はハート形にへこみ、地際の根元には白っぽい托葉が付いています。葉の裏面は少し紫色を帯びたものもあり、表面には細かな毛があるなどの特徴があり、また葉縁は規則的な丸い鋸歯縁となっています。緑の葉に囲まれたブルーの花塊りはブーケのような美しさでした。
コスミレという名前は大きな葉のわりにそぐわない感じがしますが、どういう加減か人家近くの空き地や敷地内によく見られることから、早春に顔を覗かせた時は葉もまだ小さく、他に見られる有茎種のタチツボスミレのように繁茂して盛り上がることもなくこじんまりと咲いているので、そのような名前が付けられたかと思います。実際、花後は三角状の葉はますます大きくなり、初夏の頃には春先とは似ても似つかないほどの大きな葉となります。

文・写真 中澤博子さん

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