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新温泉町文化会館だより

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兵庫県新温泉町

■『同和問題』をテーマに「第4回人権講座」を開催
文化会館では、同和問題をはじめ、あらゆる差別や人権侵害をなくし、お互いの人権を大切にするまちづくりを目指して、年5回の人権講座を実施しています。9月27日(水)に第4回目の人権講座を開催しました。

▽DVD「考えてみよう差別の歴史~戦後の部落差別と様々な差別~」を視聴
第4回目の今回は『同和問題』をテーマにしたDVD「考えてみよう差別の歴史~戦後の部落差別と様々な差別~」を視聴した後、日浦智人権啓発指導員の講話を聴きました。
近現代は、明治4年の「解放令」によって制度的には廃止されたはずの差別が存在してきた時代であり、それが今日まで至っています。部落差別は、結婚の際に頭をもたげるなど、今なお決して解消されていません。それはなぜか、どうすれば差別をなくすことができるのか。身分制度が廃止されたにもかかわらず、社会の構成員は江戸時代までの身分という境界に加えて、様々な理由を作り出し、差別を維持してきました。被差別部落の人々もそれに抗いながら解放の途を模索してきました。その在り様を見据えるとともに、他の差別の問題にも視野を及ぼしながら、近代社会における人権の意味を問い直してみようというのがこの作品のねらいです。
差別は、私たち社会の構成員がつくりだし、維持してきたものです。
部落問題とは何かを理解するとともに、自らの在り方を問い直すドラマになっています。

▽日浦智さん(人権啓発指導員)の講話
日本国憲法第14条には「すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあり、あらゆる差別は憲法によって否定されているのであるが、部落差別だけは解消されなかった。
1946年に部落解放全国委員会が前身の全国水平社の運動を引き継ぐ形で設立され、委員長に松本治一郎氏が就任している。彼は衆議院議員に3回当選しているが、彼の主張は、「上層身分が存在するから下層身分が存在する」「特権階級を解体しなければ民主主義は根付かない」「被差別部落民が苦しんでいるのは徳川幕府に責任がある」「不当に特権を得ている華族の存在が、部落民が不当な差別を受けている原因であり、部落解放のためには華族制度を廃止すべし」などであった。結果的に、日本国憲法第14条で「華族その他の貴族の制度はこれを認めない」として、華族制度は廃止となっている。
被差別部落に対する偏見の背景には、貧困と教育の問題があった。その対策として、1969年に同和対策事業特別措置法が制定され、住環境の整備や教育に本格的に取り組むようになったが、一方で部落地名総監が出版されるなど、就職差別が顕著になってきた。
さらに、結婚という局面で部落差別が執拗に残り続けている。結婚差別の原因は、被差別部落に対して優越性を保持する側が、結婚が境界を乗り越えるものであるとして、それにこだわり続ける人が結婚差別を残し続けていると考えることができる。
また、明治時代以降の人々の習慣や意識の中に、優性思想が根強く残っている。家柄や血筋で人間の優劣を推し量るというものである。考えてみると、すべての人に共通して父親と母親がいる。さらに1代さかのぼるごとに2倍ずつ増えていく。10代さかのぼる(江戸時代中期)と1,024人のご先祖様が存在している計算になる(1代25年で計算)。20代までさかのぼる(戦国時代)と、104万人のご先祖様になる。戦国時代の終わりの日本の人口は1,200万人と言われているから、現在の私たちはお互いにどこかでつながっている可能性は大きい。つまり、血筋によって人間の優劣を図るとか、優越感を抱くことなど全く意味がないことが理解できる。
戦後には部落差別のほかにも、様々な差別が存在している。そのひとつにハンセン病問題がある。ハンセン病は「らい菌」による感染症であり、感染力が弱く非常にうつりにくい病気であることが判明し、しかも治療法が確立したにもかかわらず、1996年のらい予防法廃止まで隔離政策が続いた。
他にも、アイヌ民族への差別、在日コリアンへのヘイトスピーチ、障がい者への差別など多くの差別問題が存在している。
このような差別がなくならない原因の一つは、差別する側が差別問題に向き合おうとしないことにある。部落差別は部落外出身者の問題であり、部落差別を容認している社会の問題である。在日韓国朝鮮人問題は偏見を持って差別することに問題がある。差別する側が事実を知り差別意識を克服しなければならない。以前からの習慣、ルール、社会事象をなんとなく受け入れていないか。
自らの在り方を問い直し、疑問を持ち、地道に声を上げ続け、一歩ずつ行動に移すことが重要である。

問合せ:新温泉町文化会館
【電話】82-3328

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