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我がまち朝来 再発見(第191回)

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兵庫県朝来市

■竹田城跡から出てきた謎の石
今年も竹田城跡が雲海に浮かぶシーズンがやってきました。竹田城跡はご存じの通り、すでに城の建物部分は失われ、石垣のみがその姿をとどめています。しかし、在りし日の姿を思わせるさまざまな遺物が、発掘調査や整備工事に伴い出土しています。そのほとんどが屋根瓦の破片ですが、時には土師器や陶磁器といった器の欠片や、キセルや古銭などの遺物も出土しています。今回は、そうした中でも特に一風変わった小石を紹介します。
その石は、天守台の確認調査の際に出てきました。直径2.7センチ~3.5センチ、厚さは1センチほどの小さな石で、中央に不思議な文様が描かれています。正三角形を互い違いに重ねたいわゆる六芒星(ろくぼうせい)(=籠目(かごめ)文)が中心に描かれ、六芒星の重なり部分には、やや横長の丸と、それを貫く中心線が描かれ、その左右には点がふたつ打たれています。六芒星の周りもぐるりと丸で囲まれており、文様の横には「中町」とも読める文字が、おそらく朱色で墨書されています。「中町」だとすると、竹田に行政区名として今もある中町を指しているのかもしれません。なお、裏面部分には何も描かれていません。丸みを帯びた川原石であるため、何かしらの理由があって竹田城に持ち込まれたものと考えられます。
江戸時代に描かれた竹田城跡の絵図(「但馬國朝来郡竹田城墟圖(きょ(あと)ず)」三康(さんこう)文化研究所付属三康図書館所蔵)には、天守台に近い本丸の一部に祠(ほこら)のようなものが描かれています。この祠は、赤松広秀にまつわる虎臥大明神と考えられており、六芒星の描かれた石が出土した場所とも近いことから、この祠にまつわるものとも考えられますが、情報が少なく詳細は分かりません。では、この六芒星を含む記号は、いったい何を意味しているのでしょうか。六芒星よりも一つ角の少ない五芒星(晴明桔梗(せいめいききょう))は、陰陽師(おんみょうじ)が身に着けている記号として漫画や映画などで目にしたことがあるかもしれません。陰陽五行(いんようごぎょう)説における木・火・土・金・水の相克(そうこく)(互いに戦い勝とうとすること。土は水に強く、水は火に強い、など)を表し、一筆書きで書くことができるうえ、全ての部分が閉じていることから魔物が入り込まない、もしくは出ていくことができない記号として信仰されてきました。六芒星もまた、同様に魔除けの効果をもつ記号とされています。竹田城跡の石も、なにかしらの呪術にでも使われたものか、はたまた子どもの遊びかいたずらか…。想像をめぐらせてみるのもおもしろいかもしれません。
この謎の六芒星石は、今月10月7日(土)から11月26日(日)まで市埋蔵文化財センター「古代あさご館」で開催する「山城サミット連携事業 竹田城跡最新発掘調査成果展」にて見ることができます。11月の第30回山城サミット朝来大会に合わせて、これまでの竹田城跡の調査の成果や出土遺物を紹介しますので、この機会にぜひご覧ください。
※詳しくは本紙をご覧ください。

問い合わせ先:文化財課
【電話】670-7330

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