■あたたかい雰囲気でもてなせるように
移住して間もなくお店を始めた3人は「せっかく家族でやっているのだから、家庭的な雰囲気を届けたい」との思いで、お店を続けてきた。その思いが伝わるのか、お店を訪れた人から「実家に帰ってきたような安心感でほっとした」と話してくれたこともあるという。また、知らないお客さん同士が仲良くなることも多く、お店の中はいつも賑やかであたたかい雰囲気が漂っている。3人は「お客さんの笑顔や、お店の中で人と人がつながる光景を見られることが、何よりも嬉しいんです」と、笑顔を浮かべた。
■人との出会いが活力の源に
今年、95歳になる美義さんと85歳になる喜代子さんは、娘のさゆりさんとともに約30年間お店に立ち続けている。お店を始めてから今まで、人との出会いに喜びを感じ、「いろんな人と出会えることで、だんだん若返っている気がする」とやわらかく微笑む。「今日は誰が来てくれるだろう」そんな思いを胸に、お店を訪れる人たちの顔を思い浮かべながら、お客さんを笑顔で迎えている。これからも今までと変わりなく親子3人一緒に、たくさんのお客さんに囲まれながらお店を続けていきたいと未来に思いを馳せた。
宮崎美義(みよし)さん、喜代子(きよこ)さん、坂下さゆりさん(立脇)
娘のさゆりさんの結婚を機に、家族で朝来市に移住。朝来市に住む地域の人たちと早く仲良くなりたいという思いと、地元博多の故郷の味を届けたいという思いから、居酒屋「喜綱」をオープン。お店の名前は、喜代子さんの「喜」と人とのつながりをイメージさせる「綱」という漢字を組み合わせた。お店をオープンしてから約30年が経った今、お店の名前のとおり多くの地元の皆さんが集まる憩いの場として、賑わいがあふれている。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>