11月23日に販売解禁日を迎えた、岩津ねぎ。
店頭では、今年も立派に育った岩津ねぎが所狭しと並ぶ光景が見られるようになりました。
私たち市民にとって、毎年当たり前のように訪れるこの季節。
しかし、その裏には、長い歴史と多くの人々の想いが息づいています。
■岩津ねぎの歴史をたどる
岩津ねぎ発祥の地である朝来郡山口村岩津地区(現在の朝来市岩津)でネギの栽培が始まったのは、およそ200年前の江戸時代後期。徳川幕府直轄の生野銀山で働く労働者たちが冬場に食べる野菜として、生野代官所の役人が京都から九条系ネギの種子を持ち帰り、地元農家に栽培を依頼したのがきっかけと伝わっています。その後、この九条系ネギの種子は地元で大切に受け継がれていきました。
1880年代に岩津地区の農家が、九条系ネギ(青ネギ)と根深ネギ(白ネギ)を掛け合わせて、白根と青葉の両方を味わえるネギが誕生しました。このネギは「津村子根深」と名付けられ、1903年に発行された『朝来志』第4巻内に「津村子二葱ヲ産ス佳品ヲ以テ称セラル」という記述が見られるなど、当時からその品質の高さが評価されていました。
津村子根深を地域の特産物として広く普及させるため、1922年には元津葱(ねぎ)組合、1924年には葱(ねぎ)作組合共同採取園が設立されました。これにより、効率的な出荷体制が整備されただけでなく、各農家で代々受け継がれてきた種子のうち良質なものを共同採取園で管理・育成することで、品質の安定した津村子根深の生産が可能となりました。
その後、津村子根深は「岩津ねぎ」に改称され、1927年には兵庫県農業試験場但馬分場(現在の兵庫県立農林水産技術総合センター北部農業技術センター)で、改良が行われました。関東の千住系ネギとの交配により、従来の岩津ねぎの欠点であった日持ちの悪さや軟らかさが改善され、風味や食感がさらに向上した「改良岩津ねぎ」が生み出されました。以降、この改良岩津ねぎは旧山口村から隣接地域、さらには旧朝来町全域へと広がり、地域を代表する冬野菜として定着しました。
現在でも、改良岩津ねぎの種子は大切に受け継がれ、時代に合わせて品質改良が進められています。また、種子の品質を維持するため、岩津ねぎ生産組合が優良な種子を管理しています。こうした管理体制のもと、岩津ねぎの伝統と品質は現在まで守られ続けています。
●岩津ねぎ
朝来市の特産物である岩津ねぎは、青ネギと白ネギ両方の特徴を併せ持っており、一本丸々余すことなく食べられます。冬の厳しい寒さや霜にあたることで甘みが増し、口当たりが柔らかくなることが特長。特に、青葉に多く含まれる「ヌル」が豊富で、これにより他のネギでは味わえない独特の風味を醸し出します。販売期間は、11月23日から3月21日まで。冬季限定で、品質基準をクリアしたものだけが岩津ねぎの名前で販売されます。
・全長70センチ以上
・葉数2枚以上
・葉長1枚15センチ以上
・軟白の長さ25センチ程度
※詳しくは本紙をご覧ください。
●岩津ねぎ栽培ごよみ(※チェーンポット栽培の場合)
○4月中旬~5月中旬
種まき・育苗
○6月中旬~7月末
定植
○9月~11月上旬
追肥・土寄せ
・岩津ねぎを傷つけないように気を付けながら、土をかぶせていきます。約3カ月間で、4回程土寄せを行います。
○11月中旬~
収穫・出荷調整(※)
※収穫後、土を落として皮むきを行うなど、岩津ねぎを袋に詰めるまでの工程作業のこと。
・皮むきから袋詰めまでの出荷調整を農家の皆さんが、夜通し手作業で行っています。大変な作業ですが、岩津ねぎを手にとる人たちの顔を思い浮かべながら丁寧に仕上げています。
※詳しくは本紙をご覧ください。
●広報マンおすすめ! 岩津ねぎを使った一品(ひとさら)!
岩津ねぎは、肉厚で甘味と風味が強いため、どんな料理でも素材の良さがしっかり際立ちます。そんな岩津ねぎを使った、おすすめの一品をご紹介します。
○岩津ねぎポン
ぶつ切りにしてレンジでチン。仕上げにポン酢をかければ岩津ねぎの甘味をダイレクトに感じられる最強の一品に。
○岩津ねぎアヒージョ・岩津ねぎクリームパスタ
どちらも岩津ねぎの上品な甘さが際立つ料理。クリスマスのディナーにいかがでしょうか。
○岩津ねぎスタンディング鍋
豚バラ肉を巻き付けた岩津ねぎを鍋の中に縦向きに敷き詰め、煮込めば完成!味だけでなく見た目の華やかさも楽しめる「映え」料理に。
※詳しくは本紙をご覧ください。
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