■第一線で支える
多くの人々の想いが紡がれ、守り継がれてきた岩津ねぎは、今や朝来市を代表する特産物に。
そんな岩津ねぎを支える農家の皆さんの想いを紹介します。
○岩津ねぎの本当の魅力を知ってもらいたい
池本晃市(いけもとこういち)さん(愛タウン)
知名度は上がってきているものの、一本丸々食べられることを知らずに青葉の部分を捨てる人がいるなど、まだまだ岩津ねぎの魅力が届いていないことを実感しています。
キャッチーにPRができたらと思い、2018年から「岩津ねぎ掘りDAY!」という収穫イベントを不定期で土日に開催。また、昨年からは、神姫バスのツアーで竹田城跡の観光と組み合わせて、岩津ねぎ収穫体験を実施しています。掘りたての岩津ねぎをその場で焼いて、皆さんに食べてもらうことで岩津ねぎの本当の美味しさを実感してもらうきっかけにつなげたいと思っています。また、その場で岩津ねぎの美味しい食べ方や一本余さず食べられることも伝えるようにしています。
実施から6年目になる岩津ねぎ掘りDAY!は、毎年1シーズン中に県内県外各地から300~500人のお客さまに来ていただいています。こうした取り組みで、岩津ねぎの魅力が少しでも広がることを願っています。
○有機農業や循環型農業に取り組み岩津ねぎのブランド力を向上させたい
福本寛子(ふくもとひろこ)さん 学(まなぶ)さん(枚田)
夫婦で農業ができる移住先を探していた際、お土産で買った岩津ねぎの美味しさに感動して、岩津ねぎ農家になることを決意し、朝来市へ移住しました。
岩津ねぎの栽培においては環境に配慮し、かつ安全安心で美味しい岩津ねぎを作るため、化学肥料や農薬を極力使用しない栽培に日々取り組んでいます。また、現在一部、農薬を使用せず無化学肥料で岩津ねぎを栽培していますが、今後、その面積を増やしていきたいと考えています。昨年の岩津ねぎの糖度は13度でしたが、これからも食味や糖度を上げるため自然由来の肥料にこだわり、いずれは糖度20度以上の生で食べても美味しい岩津ねぎの栽培を目指しています。
体にやさしく安全安心であること、そして、先人たちが築き上げた岩津ねぎの厳しい規格を超える栽培を目指し、日々邁(まい)進し続けること。それこそが岩津ねぎのブランド力向上につながると信じています。これからも「私たちなりの想いをかたちに」できるよう、努めたいと思います。
○地域の特産物を次世代へつなぐ架け橋に
久洋平(ひさようへい)さん(物部)
岩津ねぎは他のネギと比べて非常に繊細で、葉が折れやすく病気にもなりやすいため、栽培が難しい作物です。しかし、その栽培の難しさこそが岩津ねぎの価値を高めていると感じています。また、朝来市の特産物として根付くまでには長い歴史と多くの人々の努力があり、その背景に深い意義を感じながら生産に取り組んでいます。
2018年に大学を卒業して朝来市に移住しましたが、「この人についていけば大丈夫」と思える先輩農家との出会いや、新参者でも農業ができるような土台や受け入れ体制が備わっていたことが、農業を続けられている理由だと感じています。
課題は多くありますが、岩津ねぎ農家として、先輩たちがつないできたことを次の世代につなげられるように、農業に参入しやすいモデルを新規就農者が主となって作ることで、岩津ねぎの歴史を未来へつなぎたいと考えています。
●農家の皆さんとともに、岩津ねぎを支える
和田山営農生活センター
営農相談員 長島剣太(ながしまけんた)さん
農家の皆さんとともに岩津ねぎを育てている気持ちで営農指導に取り組んでいるので、出荷された、立派に育った岩津ねぎの姿を見ると、言葉にできないほどの嬉しさを感じます。
現在も、若手農家のサポートや出荷調整の効率化、岩津ねぎの認知度向上、担い手の高齢化など、さまざまな課題がありますが、多くのセクションと連携しながら共に解決の糸口を探し、出荷量の拡大に貢献していきたいと考えています。
また、今年は異常な夏の高温により、生育が遅れ、病気にかかる岩津ねぎが多くありました。地球温暖化による影響に備えるためにも、さらに知見を深め、農家の皆さんとともに前例のない困難を乗り越えていけるよう、努めたいと思います。
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