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我がまち朝来 再発見(第207回)

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兵庫県朝来市

■村中に福来たれ~うみうし会の節分行事~
まだまだ寒い日が続きますが、暦の上では立春を過ぎ、だんだんと春の気配が立ち始める頃とされています。この春の始まりである立春の前日は、「季節を分ける」という意味で「節分」と呼ばれます。今年は立春が2月3日だったため、節分は4年ぶりに2月2日でした。皆さんも恵方巻を食べたり、豆まきをしたりして過ごされたのではないでしょうか。
そんな節分の日に、和田山町寺内区で行われているユニークな行事をご紹介します。寺内区では毎年、住民有志グループ、「うみうし会」によって節分行事が行われています。鬼に扮(ふん)した男たちが、小鬼(※)を引き連れて村中の家々を回り、なんと、鍵さえ開いていればインターホン鳴らさず家の中にドカドカと押し入り暴れまわります。鬼たちは各家で泣きじゃくる子どもたちを追いし、「鬼が来たぞ〜‼」「お父さんお母さんの言うことを聞くか〜」と、なまはげさながらの迫力で迫ります。そして、しばらくすると、福の神や巫女たちが登場し豆を撒いて鬼たちを退最後に各家の幸せを願うお札を配り、一行は次の家を目指します。
1987年に始まったこの行事は、今年で39年目を迎えました。
突如として侵入してくる鬼たちに、子どもたちは時には逆さ吊りにもされ、ともすればトラウマになってしまいそうな状況です。しかし、これまでにそうした話が聞こえてこないのは、自分たちを追い回す鬼が、実は親たちと仲良く談笑していたりするのを見て、本当の脅威ではないということを、子どもながらに理解しているのかもしれません。
「好き嫌いをする悪い子は喰っちまうぞ〜!!」と鬼たちにしつけられて泣く子どもたちを、お父さんお母さんはニコニコしながら見守りま。(おじいちゃんおばあちゃんは、ハラハラしながら見守ることも多いそうです。)
泣いて逃げ回るだけだった幼い子どもたちは、いつしか豆を投げて鬼に立ち向かうようになり、やがて小鬼として各家を驚かす側に回っていきます。その成長を、親や祖父母と共に、鬼たちもまた、恐ろしげなメイクの下で目を細めながら見守っているのです。
鬼の一行は子どものいる家だけでなく、村中のあらゆる家を回ります。一人暮らしのお年寄りの家では、鬼たちは「元気にしてたか〜‼」「来年も来るから健康に気をつけろよ〜‼」と優しい言葉も投げかけます。お年寄りたちも、そんな鬼たちや、キャッキャとはしゃぐ小鬼たちを見て目を細めます。
節分のように毎年繰り返される年中行事は、巡る季節と共に一年の中にリズムをもたらします。同時に、それらの行事は関わった人々の人生のサイクルにも寄り添い、生涯のリズムをもたらしてるのかもしれません。
福の神たちが各家に配るお札には、「祈豆蒔鬼払福入春多寿多笑 寺内鬼外福内大明神」と書かれています。寒い冬が終わり、もうすぐ春がやってきます。皆さんのご家庭にとっても、本年が幸せで笑顔あふれる年になりますよう、お祈りします。
(※)小学4年生になると鬼の一行に加わることができます。

問い合わせ先:文化財課
【電話】670-7330【FAX】670-7333【Eメール】bunkazai@city.asago.lg.jp

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