■共生サイトとは?
環境省は、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させるというゴールに向け、陸と海のそれぞれ30%を健全な生態系として保全しようという目標を掲げています。
その目標を達成するため、「民間の取組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」として国が認定する取組みを行っています。
全国認定サイト数:184サイト
(そのうち海洋関連は6サイトのみ)
■生物多様性豊かな相生湾
私たちの暮らしの一部にある「相生湾」。50年ほど前は、沿岸では生きた化石「カブトガニ」が、沖では小さなクジラ「スナメリ」が目撃されるなど、稀少な生き物が暮らす豊かな海でした。
自然環境の変化とともに、当時暮らしていた生き物たちの中には見ることができなくなったものもいます。それでもなお、絶滅危惧種などの稀少種をはじめとする、さまざまな生き物の暮らしを支える自然が残った生物多様性豊かな「海岸生物の王国」だったのです。
■認定における評価
認定では、「稀少な動植物が生息する優れた生物多様性を有していること」「相生湾を自然豊かな里海として蘇らせるため、市民団体や自治体などのさまざまな関係者が連携し、生物保護や海洋漂着物回収などの環境保全活動に精力的に取組んでいること」が高く評価されました。
■稀少な動植物(一部)
甲殻類(カニ類):ハクセンシオマネキ、オサガニ、アカテガニなど81種
甲殻類(エビ類):テナガエビ、アナジャコなど9種
貝類:コゲツノブエ、イボウミニナなど19種
植物:シバナ、アマモなど19種
鳥類:ミサゴなど4種
魚類:ニホンウナギ、トビハゼなど10種
■認定を支えた人たち
○相生湾自然再生学習会議
「相生湾をカブトガニがいた生物豊かな海に戻そう」と市民団体として2004年に立ち上がりました。「アマモ畑」の復活に向け、毎年小学生たちと種を蒔き、苗を作り、海に移植しており、その成果は少しずつ、着実に広がっています。市と協働で環境学習を行ったり、藻場・干潟など浅瀬の養浜活動、塩性植物の保全、清掃活動などにも積極的に取組んでいます。
○あいおいカニカニブラザーズ
2015年に市が主催した「干潟の生物観察会」に参加し、カニに魅了されて以来、独自で調査を行っている現在高校2年、1年生の兄弟。調査の結果、絶滅危惧種や兵庫県初発見記録種などを含む81種のカニや、その他稀少な海岸生物を発見し、その成果を甲殻類学会などで発表するなど、ふるさとの海の魅力を発見・発信し続けています。
ハクセンシオマネキ
”目玉に乗った砂の粒”がポイント♪
■相生市の取組み
市は2004年、海に特化した環境学習を始めました。
2010年にはテーマを「里海づくり」とし、学習対象として小学生20人を「里海クラブ」として組織しました。里海クラブ員は、ふるさとの海にふれることで興味・親しみ・愛着をもち、海の自然を学び、相生湾の自然を守り、育てることを考えています。
今回の認定を受けて、相生湾は環境省のHPや、国際的な認定制度である「OECM」という国際データベースに登録され、国内外に広くPRされます。
今後は、環境保全に賛同する企業・団体と連携しながら”海岸生物の王国”を保全していきます。
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