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[特集]神戸の森を学ぼう

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兵庫県神戸市 クリエイティブ・コモンズ

神戸には「森」がたくさんあることを知っていますか?
市の面積の4割が森なのです。
いま、その森が危機に立たされています。
子どもたちに「元気な森」を手渡すために、一から森のことを学び、
どうしたら良いか一緒に考えましょう。

■森のエキスパートに聞きました副市長黒田慶子
・プロフィール
1985年に農林水産省に入省し、独立行政法人森林総合研究所、神戸大学大学院教授を経て現在は同大学名誉教授。日本森林学会会長も務め、里山や人工林の健康維持に取り組んできた。今年1月、副市長に就任。SDGsに基づく政策の企画・立案、実施を担当。

■日本の3分の2が森林
・日本の国土面積に占める森林の種類と割合

スギやヒノキを植林して育てる「人工林(円グラフの黄緑)」は、日本の国土の3割程度ですが、神戸市には少なく1割程度です。「その他の森林(円グラフの緑)」の大半は、人手が加わった里山(二次林、主に広葉樹)で、神戸市には広大な里山があります。実は、関西には自然のままの森は非常に少ないのです。
※面積図は本誌またはホームページをご覧ください

■昔は…里山林を育てて使っていた
里山のコナラなどドングリのなる木は、伐ると切り株から芽が出て育ちます。毎年一定の面積を伐っては若い森を育てて、大きく育ったら順々に伐って使っていました。
(1)伐る
(2)切り株から芽が出て育つ(萌芽ほうが)

(15~30年後)
(3)炭にして暖房や、売って現金収入に、薪(たきぎ)として燃料に、田畑の肥料に

■ところが時代とともに里山を使わない生活へ変化
1950年代以降、ガスや電気を使う生活になり、薪や炭を使うことがほとんどなくなりました。また、化学肥料を使うようになり、落ち葉を肥料にすることも、少なくなりました。そのため、里山の樹木を使わなくなり、人が山の中に入らなくなりました。
・昔の山
光が入る、明るい、芽生え若木が育つ

・今の放置高齢里山
光が入らない、芽生え若木が育たない、倒木の危険性が高まる
※イメージ図は本誌またはホームページをご覧ください

■里山が放置されたことで
使われなくなった里山は、大木が増えて地面まで光が届かない暗い森になり、芽生えや若木が育ちにくくなりました。また、老木・大木が増えたことで、倒木の危険性が高まりました。木の病気も発生しやすくなっています。
※枯れたコナラ。伝染病「ナラ枯れ」は、キクイムシが病原菌を運ぶことにより発生。

■子どもたちに元気な森を引き継ぎたい、そのためには…
昔のように、責任を持って森を育てられたら、元気な森が増えていきます。そうすると、ずっと資源として使い続けられるのです。
薪や炭をほとんど使わなくなった現代でも、私たちは木製品や紙(原料は木)をたくさん使っていますが、その多くを海外から輸入しています。これからは輸入に頼らず、里山にあるたくさんの樹木に目を向けて、身近にある森をもう一度使っていく必要があるのです。自然のサイクルに人間が合わせていけば、子どもや孫の世代に元気な森を渡せます。

美しい里山の風景は観光資源としても価値があります。滞在型の宿や里山散策ツアーは、農村地域の活性化につながります。また、木の枝や実は花材としても利用できます。

■神戸産木材を使って、森を元気に
◆公共施設で
市内の公共施設で神戸産木材を積極的に使っています。

◆さまざまな製品へ
里山の広葉樹には、色や硬さの違ういろいろな種類があります。テーブルや椅子などの家具、床材などに使えます。

◆神戸産カシの木を備長炭に!
神戸産樹木の利用方法の一つとして、高級炭として知られる備長炭の生産を計画しています。11月には、北区山田町で伐採した6トンのカシの木が炭になりました。料理人による神戸ビーフの調理などを試し、試食を通じて、継続的な神戸産炭の生産の可能性を探っていきます。

■神戸の森を知ろう
森について考える第一歩として、さまざまな視点で森を見てみるのがおすすめです。
◆ロープウェーやケーブルカーに乗って、木々の種類や標高による変化を見てみよう
神戸市は全国でも珍しく、森を上から眺められる乗り物が市内にたくさんあります。
・神戸布引ロープウェイ
・六甲ケーブル
・まやビューライン
・六甲有馬ロープウェー
(摩耶ケーブル・摩耶ロープウェー)

◆もっと知りたい 黒田副市長による出前トーク
皆さんのところへ黒田副市長が伺い、森林についてお話しします。

◆何かしたい 参加できる森林保全活動
個人・団体・企業それぞれのニーズに合ったさまざまな活動を紹介します。

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