■脆弱(ぜいじゃく)性骨折と骨粗しょう症について
整形外科医師 飯盛 信哉(いいもり しんや)
脆弱(ぜいじゃく)性骨折とは、わずかな外力によって生じる骨折のことで、一般的には立った姿勢からの転倒を基準とし、それより弱い力で生じた骨折のことを言います。特に、骨がもろくなっている骨粗しょう症のご高齢の方が尻もちをついたり、転倒することでよく起こります。その中でも、背骨(脊椎圧迫骨折)や脚の付け根(大腿骨近位部(だいたいこつきんいぶ)骨折)が多く、程度によっては寝たきりなどその後の健康寿命に影響することもあります。
骨粗しょう症については、上記のような骨折が起こらない限りは自覚症状がないことも多く、治療の重要性が軽視されがちです。今まさに困っていることがないのであれば、まだ治療を受けなくてもいいのではないかと思われるかもしれません。しかし、日本の骨粗しょう症患者は約1300万人とも言われており、特に女性の方が多く、50歳代でも10人に1人は骨粗しょう症になっていると言われています。また、ご高齢の方で支援や介護が必要になった原因をみてみると、「骨折・転倒」は「認知症」、「脳血管疾患」、「高齢による衰弱」に次いで多いとされています。これらの点を踏まえて、10年20年先の未来を見据えた予防的治療が大切になると考えられています。
まずは整形外科を受診してみてください。骨密度測定などの必要な検査をした上で、患者さんひとりひとりに合った骨粗しょう症治療をご提案させていただきます。
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