■新春対談 神河町長 山名宗悟×楽天ヴィッセル神戸株式会社 代表取締役社長 千布勇気
昨年、さまざまな困難を乗り越えてJ1リーグで悲願の初優勝を果たしたヴィッセル神戸。
この度、代表取締役社長 千布勇気様をお招きし、自治体とプロスポーツチームが協力して地域振興やスポーツ施策をどのように展開していくかについて語り合っていただきました。
■お互いの第1印象は?
町長:昨年2月の開幕戦の際に行われた首長の会でしっかりとお話させていただいたのですが、とにかくお若いという印象を受けたのと、社長に就任されてから、一気に右肩上がりで優勝まで来られましたよね。非常に優秀な方なんだなぁと思いました。
社長:私はまず、町長のプロフィールを拝見していると、神河町で生まれ育ち、そして役場にお勤めになられて町長をされており、私も田舎出身なので、温かみを感じました。私が言うのはおこがましいですが、長年町長をされているのでドシっと構えられていらっしゃる姿がとても印象的です。
■プロサッカーチームが目指す地域観光振興
社長:試合に来てくださるお客様のうち、県内の方と県外の方の割合は6:4あるいは5:5くらいです。アウェイチームをはじめ、県外から多くのお客様が来られ、その中には観光客の方もいらっしゃると思1985年佐賀県生まれ。東京大学大学院卒業。2011年楽天株式会社に入社し、人事部や社長室(三木谷秘書)を経て2019年より楽天ヴィッセル神戸株式会社常務執行役員に就任。2022年6月より同社代表取締役社長を務める。千布勇気(ちふ・ゆうき)います。我々としては、ヴィッセル神戸の試合を観たついでに観光し宿泊する。その地域の魅力を皆さまに知っていただくような形で寄与出来ると思っています。
また、選手が子どもたちに会いに行ったり、サッカースクールを行うなどさまざまな事業を展開していますし、スポーツをフックにして町の魅力を振興することを行えたらと考えています。そういう意味ではニコイチといいますか、ヴィッセル神戸が持っている力と観光などが合わさり、地域の魅力をお伝えできるような存在になれたらと考えています。
町長:町では今、観光をまちづくりの一つの柱にしています。私も町長に就任して14年、基本的には観光を進めてきました。町内にはさまざまな観光施設がございます。私が就任した頃は、年間約50万人のお客様にお越しいただいており、目標は100万人を目指そうと突き進んできました。
しかし、更にお客様に遊びに来ていただくためには、職員が営業努力をしていくということが大切です。赤字の施設もございましたから。私も職員と一緒に力一杯営業を行い、約80万人まで増えました。コロナウイルスの影響により若干少なくなりましたが、屋外施設が多いことやアウトドアブームから、かなり集客できた施設もありました。
今までは「スポーツと共に」という概念があまりなく、ヴィッセル神戸様が地域に根差して活躍されていますので、今後の観光政策含めて連携を取りながら取組みを出来ればと考えています。ユースチームの親睦合宿に使用していただくなどもいいですよね。
社長:私も子どもの頃サッカーをしており、栃木県にある那須高原で合宿を行っていました。自然の中でプレーする気持ち良さや美味しいごはんなど、子どもたちもとても喜んでくれると思いますね。
町長:町にも高原があります。サッカーも大切ですが、自然の地形を活用したフィジカルトレーニングなどの合宿も行っていただけたら嬉しいです。
社長:私も合宿所にあったゴルフコースを走っていました。是非実現出来たらいいですね。
■地方自治体におけるスポーツ施策の展開について
国内では、施策実現のためにスポーツをまちづくりや地域活性化と連携させると効果的との論文も出ています。町は現在、教育委員会でスポーツ施策を展開していますが、ヴィッセル神戸様は首長の会をはじめ、県下全ての団体とさまざまな交流をされるなかで、自治体との連携に対して、もう少しこのようにすればスポーツの発展に繋がるなど自治体に要望される事、また、部署を超えた連携の重要性などについてはどのように感じていらっしゃいますか?
社長:いつも首長はじめ、自治体の皆さまには多大なるサポートいただいておりますし、我々のファンには住民の皆さまが多くいらっしゃると思います。ひとえに感謝しかございません。他方で自治体の方と事業をする際に難しい所で例をあげると、担当部局が分かれている事ですね。分かれていると誰に連絡したらいいのか分からないというのがあります。
あとは、スポーツの力を信じてスポーツ文化局みたいなものを立ち上げていただけると、その部署の方が責任を持って担当していただくことで、その力を通じて自治体を活性化できるのではないかと思います。自治体の担当者の方もさまざまな仕事がある中で、部局化することでより責任意識を持つことが出来ますし、さまざまな仕事の一つなのか、主なのかによって変わってくるとも思います。もし可能であれば、スポーツを通じた町を振興する方が1人窓口になっていただき、その方が中心となって色んな部署を巻き込んで共にお仕事をしていけるようになると、さまざま形で貢献できることがあるかなと思います。
町長:私自身も町長部局が窓口になって色んな取組みを行うことも良いと思っています。教育委員会もさまざまな事業を行っており、その中には学校教育や社会教育のスポーツもあります。行政が行うスポーツの中には地域活性化も含めた要素が入るので、教育部局だけではなく他部署との連携を考えると、行政サイドが受け持った方が連携しやすいかもしれません。
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