■起立性調節障害と周囲の理解
思春期を迎える多くの子どもたちが「起立性調節障害」で苦しんでいます。この障害は、自律神経がうまく働かなくなることが原因で、頭痛や立ちくらみ、めまいなどから、朝起きることが難しくなります。症状の強さはさまざまですが、中学生の約1割が苦しんでいるといわれています。
今回、起立性調節障害を経験された方のお話をご紹介いたします。この方は、中学3年生の春頃、起立性調節障害と診断されました。午前中に症状が強く、遅刻や欠席することが増えると、周囲からは「もっと頑張れるはず」、「サボっている」と言われることもあり、体調不良に加えて精神的にもさらに傷ついたそうです。しかし、病気のことを理解し寄り添ってくれた先生や友達のお陰で、自分のペースで学ぶことができる高校に進学。体調に合わせて通学と自宅学習で単位を取得し、無事に高校を卒業されました。
現在は大学に進学し、症状もほとんどなくなり、朝一番の授業から出席できているとのことでした。
起立性調節障害は、ただでさえ心身ともに不安定になりがちな思春期に発症し、受験や進学などとも重なることから、大きな不安や焦りを感じることが多いと思います。しかし、医師による正確な診断によって、治療していけば、数か月から数年で回復していきます。治療は、血圧を上げるお薬などのほかにも、日々の生活の工夫が必要となります。起立する時にはゆっくりと行ったり、水分や塩分をしっかり摂ること、起床時間を一定にして生活のリズムをつくることなどがあります。また、活動しやすい夕方には、適度に体を動かして体力低下を防ぐことも大切です。焦らずにできることを一つずつ行って、この時期を乗り切ると、元気に活動する将来の自分が待っています。
地域の皆様には、この症状で悩んでおられる方のことを理解し、温かくサポートしていただきますようお願いいたします。
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