<エッセイ>思いの詰まった小さな箱
新年度が始まり2ヶ月程が経ちましたが、皆さんは新しい生活に慣れましたでしょうか?家族や自分自身の進学・就職などに伴い、お弁当生活が始まった方もおられると思います。
私のお弁当に関する一番古い思い出は、保育園時代にさかのぼります。大根や里芋の煮物、黒豆など自分の好きな物が入っているお弁当に満足だったのですが、ふと、隣に座っているお友だちの弁当を見ると、ウサギ型に切ったリンゴ、タコさんウインナー、レタス…なんてカラフルでかわいいお弁当なんでしょう!私にとって、そのカラフル弁当との出会いはかなりの衝撃でした。その日、帰宅後すぐ母に「うちの弁当は、茶色と黒ばかりで暗い」と訴えた事を鮮明に覚えています。その日以降、母なりに努力してくれたのか、お弁当の内容が少しずつ変わっていったような気がします。
お弁当は不思議な力があると思います。「残さず食べてね」「昼からも頑張ってね」…小さな箱の中に作り手の思いがぎっしり詰まっています。それを子供たち(食べる側)は吸収して、元気を補給しているような気がします。
時が流れ、私も母親になり、子どもの為にお弁当を作ることになりました。お弁当を作る立場になって初めて、母の大変さを身に染みて感じます。自分の作ったお弁当について苦情を言われた母の気持ちを考えると、さぞかし嫌な気持ちになっただろうと反省しています。
私のお弁当作り生活は、まだまだ続く予定です。「今日は何を入れようか?」「茶色と黒の弁当になってないよね?」など色々考えながら、日々、お弁当作りに励んでいます。
皆さんの中にも、お弁当を作る側の人、食べる側の人がおられると思います。小さな箱の中に思いを詰めたり、その思いを受け取ったりしながら、今日も一日頑張りましょう!
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