■腹腔鏡下手術について
外科診療部長 吉田 勲(よしだ いさお)
現在の医療は、患者さんの体への負担が少ない治療が中心となってきています。外科治療でも従来の開腹手術に対し、腹腔鏡下手術(お腹の中に挿入したカメラを用いた手術)の割合が増加しています。開腹手術では多くは15センチ以上のキズになりますが、腹腔鏡では5ミリまたは10ミリの器械を挿入する小さいキズが数カ所と、臓器の摘出や臓器の再建などに用いる4~5センチのキズで手術を行います。
利点は、(1)傷が小さい(痛みが少ない)(2)術後の回復が早い(内臓に直接触れないので臓器の回復も早い、入院期間が短い)(3)術後の癒着が少ない(腸へいそくの発症が少ない)こと、欠点は、肉眼で視るより視野が狭く、特殊な技術が必要で手術時間が長くなることです。
当院では主に胆石手術で腹腔鏡を用いてきましたが、十数年前から早期胃癌、大腸癌、胆石、虫垂炎、一部のそけいヘルニア、食道裂孔ヘルニア(胸やけやつまり感の強い状態)の手術でも行っています。令和4年~5年度の全身麻酔手術の49%に腹腔鏡を用いており、胃癌の27%、大腸癌の70%、虫垂炎の62%、胆石の89%に達しており、今後も症例を検討し適用していく予定です。
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