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今月のイチオシ(2)ー2023「植村直己冒険賞受賞者が決定 史上初の2組同時受賞ー

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兵庫県豊岡市

2月16日、2023「植村直己冒険賞」受賞者の発表会見を東京会場(アルカディア市ヶ谷)と豊岡会場(府中小学校)で開催しました。今回は、2023年に日本人が挑んだ104件の冒険行の中から『イラクの巨大湿地帯(アフワール)探検』を行った山田高司さんと高野秀行さん、『ヒマラヤ・アンナプルナ山群の大渓谷「セティ・ゴルジュ」の探検』を行った田中彰さんと大西良治さんが選ばれました。これまでの植村直己冒険賞の中で2組4名の受賞は史上初となります。

■植村直己冒険賞授賞式にお越しください
これまで謎に包まれ、未知なる場所に踏み入った前人未踏の2組の大冒険行の足跡を会場でお聞きください。
日時:6月1日(土) 午後1時30分開始予定
場所:日高文化体育館

■6年かけて謎に包まれた地域で人々と交流し、生活や文化を調査 イラクの巨大湿地帯(アフワール)探検
・山田高司(やまだたかし)さん
1958年、高知県生まれ。東京農業大学探検部出身。探検家、環境活動家。「世界の川をつなぐ」を目標に、世界中の川をカヌーで下る。アフリカでの川行を通して「川から世界を見る訓練をしてきた中で、その源である森のこと、人々の暮らしを住み込んでもっと知りたい、もっと深く見る目がほしい」と地球の庭師修行として植林プロジェクトを実施。

・高野秀行(たかのひでゆきさん)
1966年、東京都生まれ。早稲田大学探検部出身。ノンフィクション作家。在学中の探検行をまとめた「幻の怪獣・ムベンベを追え」でデビュー。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」をポリシーに、世界の未知なる場所へ足を運ぶ。

◇謎に満ちた巨大湿地帯(アフワール)
イラクを流れるティグリス川・ユーフラテス川はバグダッドの南で合流し、一つの川になります。2つの川に挟まれた地域は、巨大な湿地帯(アフワール)を形成しています。その一帯には、独自の世界観を持つマンダ教徒や古代シュメール文明と変わらない生活をするマアダンの人たちが暮らしています。アフワール一帯に関する詳しい書物はほとんどなく、山田さんと高野さんは6年の歳月をかけて現地に赴き、そこで暮らす人々と交流をしながらさまざまな発見を記録にまとめました。

◇数千年前から続く生活様式、SDGsな暮らしがそこにはあった
アフワールは反政府勢力の隠れ家にもなっていたため、政府は川の水を堰き止めました。その結果、アフワールはみるみるなくなっていきました。しかし、政権崩壊後、住民たちが堰を壊して水を流し込んだおかげで、現在は少しずつ湿地帯が戻ってきました。
水がなくなり土地を離れた人や廃れた文化もありましたが、アフワールの中には、4千年前と変わらない生活様式や文化がまだ残っていました。中でも、現地で「アザール」と呼ばれる布のルーツがユダヤ人にあり、ムスリム(イスラム教の信者)によって各地に伝播した可能性があることが探検から分かってきました。そして、そこから宗教的、人種的、民族的なさまざまな構造があぶりだされることとなりました。

■世界の誰も入れなかった深さ最大400mの大渓谷を踏破 ヒマラヤ・アンナプルナ山群の大渓谷「セティ・ゴルジュ」の探検
・田中彰(たなかあきら)さん
1972年、兵庫県生まれ。関西大学探検部出身。渓谷探検家、キャニオニングガイド。在学中から大学の樹冠研究に参加し、海外で1カ月以上樹上生活を行った。2017年にアジア人初、世界で9人しかいない国際キャニオニング協会認定インストラクターとなる。国内外で数百の渓谷を探検する日本の第一人者

・大西良治(おおにしりょうじ)さん
1977年、愛知県生まれ。東北大学ワンダーフォーゲル部出身。日本山岳・スポーツクライミング協会ルートセッター、日本山岳ガイド協会フリークライミングインストラクター。19歳で沢登りを始め、22歳で単独行に目覚める。国内外多数の沢を遡行(そこう)し、2016年には、前人未踏で知られた、立山を源流とする富山県称名川本流単独初完全遡行に成功した。

◇人類未踏の大渓谷への挑戦
ヒマラヤの標高8千m級のアンナプルナ山群に囲まれた大渓谷「セティ・ゴルジュ」は、現地で「悪魔の谷」と呼ばれ、谷底まで最大400m近くもある深く狭い谷です。これまで、冒険者や地質学者、NASAが探検に挑戦しましたが、誰もこの渓谷に足を踏み入れることができませんでした。
田中さんと大西さんがセティ・ゴルジュの存在を知ったのは、2019年。世界中が新型コロナの猛威にさらされ、国境が閉ざされて現地に行くことができず、もどかしい時間が続きました。しかし、2人はあきらめることなく、挑戦の機会に備えて準備を行い、機会を待ちました。
そして、ついにセティ・ゴルジュへ挑戦するチャンスを得ると、培った技術と強い精神力で命懸けの探検を成功させました。

◇一度入れば戻れない峡谷に地球活動の跡が残っていた
最大400mの深さの谷底に降りると、下降用のロープは渓谷内の移動のために使うのでいったん抜いてしまいます。そのため、谷底から戻るには、ゴール地点に下ろされたロープまでたどり着かなければ、地上に帰ることはできません。
真冬の水温は3℃。夜になれば気温は氷点下に。夜までに戻らなければ凍死の可能性もあります。さらに途中では、落石が続く場所を越えなければならず、まさに命懸けの探検でした。その途中、彼らが目にしたのは太古の地球活動の跡。2人の探検によってセティ・ゴルジュ形成の謎が解明されようとしています。

問合せ:日高振興局地域振興課
【電話】21-9056

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