都市部から地方への移住を促進する国の制度「地域おこし協力隊」。個性溢れる隊員自らが活動を紹介するシリーズ!
◆vol.35 伝統技術「豊岡杞柳細工」の継承
谷田川 由紀(やたがわ ゆき)
奈良県出身。高校から和太鼓を始めプロ和太鼓チームに13年間所属。現在もフリーで演奏活動を続けている。結婚、出産を経て自給自足を目標に長野県を経由して但東町に移住。
◇思い返せば
私の現在の暮らしは「はじまりへの旅」という映画に背中を押されたことから始まりました。人里離れた森の奥で自給自足で暮らすベン一家が街へ繰り出すという物語です。これまで和太鼓の特殊な世界でしか生きてこなかった私が、結婚と出産を経て生活が一変し、社会になじもうとすればするほどどこか違和感のある生活がベン一家と重なり、太鼓一筋の人生が、言うなれば社会的な森の中であったのだと感じました。足るを知り、自らの選択によってこれからを切り開いていこうと思うきっかけでした。その第一歩が、長野への移住です。
◇長野での発見
移住した場所は山の中にある少人数の集落で、既に自給自足でほぼ完結している家もある地域でした。そんな環境で自給自足の厳しさを感じながらも、狩猟や養鶏、養蜂、畑などを経験し自分たちの追い求めるものの素晴らしさ、面白さも発見できました。
◇杞柳細工との出会い
地域おこし協力隊として豊岡杞柳細工を始めるきっかけになったのは、集落に暮らす職人が作った竹細工や木工作品との出会いでした。自然の材料から作られた細工に、生活用品としての美しさや素晴らしさを感じて、豊岡杞柳細工の存在を知り、まさに豊岡杞柳細工は私の理想だと感じました。
◇この場所で生きるということ
「たくみ工芸」で修行を始めて1年ほどですが、ものづくりに没頭できる日々に心から感謝しています。杞柳細工を作ることが楽しくて、協力隊卒業後も師匠に教えていただきながら作り続けていきたいです。暮らしの中にものづくりがあることが、自分の精神的な豊かさにつながると確信しています。
私たちの旅は、まだ始まったばかり。長野でも豊岡でも、人に恵まれていると感じています。自分のできることが伝統の継承と地域貢献につながれば、これほどうれしいことはありません。
問合せ:地域づくり課
【電話】21-9096
<この記事についてアンケートにご協力ください。>