■米里の一ノ宮神社
一ノ宮神社は八木川に面した村の入口にあります。大屋町中と加保に一宮神社、夏梅と大杉に二宮神社、筏には三宮神社があって親しみやすい神社名です。
神社の本殿は覆屋の中にあります。本殿は正面が三間、側面が二間の規模です。屋根は「入母屋造(いりもやづくり)」であり、市内では「流造(ながれづくり)」と共に多くみられる形式です。本殿の正面に4本の柱を立てた幅三間です。この柱の間に細長い格子戸を入れた独自の工夫によって高くみえるのが特色です。天明3年(1783)の建築です。
本殿の魅力は龍の彫刻です。正面の水引虹梁(みずひきこうりょう)の上に、大きな口を開けた龍が雲の間を飛ぶ姿が彫刻されています。
本殿には左側と右側の縁にはそれぞれ脇障子という板状の建具があります。この脇障子に右側は「昇り龍」、左側は「下り龍」の彫刻を彫っています。水の中から龍が天に昇り、本殿の前で空を舞い、再び水の中に戻る姿を連続する彫刻で表現した物語です。
彫刻師は丹波柏原の中井君音です。柏原八幡神社の境内にある五社稲荷神社、山東町粟鹿の當勝天神社、高柳の住吉神社等に彫刻があります。
拝殿には高柳の中島柳邨(中島薫雄)先生が描いた龍の絵馬が掲げられています。昭和51年10月に神社改築記念に奉納されています。
(教育委員会歴史文化財課)
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