第59回江差追分全国大会・第25回江差追分熟年・少年全国大会の開催は9月15日(金)・16日(土)に予選会、17日(日)に決選会が行われ、道高勉さん(北檜山区)が熟年の部で見事日本一に輝き、喜びの声をお聞きしました。
■優勝の瞬間は「感無量」
新型コロナの影響により4年ぶりの通常開催となった今年、熟年の部(70歳以上)で出場。
「130人の出場者の中から35人が決選会へ進出しました。決選会では順番が31番目と最後のほうでしたが、何とか思う通りの追分を熱唱することができました。」と話す道高さん。
「緊張を解くために精神を落ち着かせ、ご先祖様、今まで応援していただいた皆さんへの感謝の思いを込め歌うことにしました。すると不思議と冷静になり始まりがスッと入りました。」
結果発表では、まず上位10名が舞台へ上がり10位から順番に名前が呼ばれます。
「最後の2人になった時、会場内がシーンと静まり返り、発表までの時間がとても長く感じられました。日本一が決まった瞬間、会場内から大きな歓声と拍手が沸き起こり、えーっ?俺なのか?と、とても驚きましたが、江差町長から優勝旗が授与され、日本一を実感。今までの思い、沢山の人に応援していただいた感謝を込めて追分を熱唱しました。」
■病が追分を再開するきっかけに
25歳の時、元々関心があった江差追分を未来へ伝承していきたいとの思いで、妻の睦子さんを師匠に本格的に習い始めました。その後、仕事の都合で一旦追分から離れていましたが、60歳の時に肺を患い手術をすることに。
術後、リハビリのために追分を再開。師匠はもちろん睦子さん。睦子さんも30年前にこの大会で優勝の経験があり、2人で厳しい稽古に取り組みました。
江差追分は7節で構成されていますが、いつも最後の7節で息切れし、失敗してしまっていたが諦めずに毎日練習し、歌って喉と肺を鍛えることに集中。息も最後まで続けて歌えるようになり、おかげで術後の経過も順調で体調もすっかり良くなったとのことです。
■夫婦そろって日本一を
「(初めての)夫婦そろって日本一の称号が取れたらいいね」折に触れ、ふたりで話していた言葉。「今回の優勝は切磋琢磨しながら夢を叶えるためにふたりで歩んできた結果」だと語っていました。
手術の年から大会に挑み、平成30年の追分全国大会では一般の部で6位に入賞。諦めずに挑戦すれば優勝も夢ではないと思い、より高みを目指してふたりで取り組みました。
■もうひとつの「日本一」
7月22日(土)・23日(日)函館市民会館で第32回道南口説節(くどきぶし)全国大会が開催。熟年の部に出場し見事日本一に輝きました。
「同じ年に2つの大会で日本一になれるなんて今年はもう集大成だね」と笑顔を見せていました。
■夢はあきらめなければ必ず実現する
「子供の頃から唄が好きで民謡や演歌を歌い続け、将来は指導者になって未来へ伝承していきたいと思い、諦めずに追分に取り組んできたことが今回の結果につながったのではないか」と話します。
今後は自身の介護予防・健康づくりも兼ねて民謡を続け、指導者として若い人に文化を伝承していきたい。「夢は諦めなければ必ず実現するんだよ」ということを伝えていきたい。そう話す道高さんの笑顔はとても輝いていました。
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