「既に消滅時効が完成したはずの借金の督促状が届いたら」
法テラス八雲法律事務所
弁護士 是永 克巳(函館弁護士会所属)
■新年明けましておめでとうございます。本年も法テラスの法律事務所をよろしくお願い致します。函館地方裁判所管内では、3事務所が置かれ、皆様のご利用をお待ちしております。
■さて、既に何年も前に消滅時効が完成したはずの借金の督促状が届いた場合には、どうしたらよいでしょうか?この場合、業者から支払えと言われたとしても、その場では返答せずに、専門家に相談して下さい。
■なぜ、このような消滅時効が完成したはずの債権の督促状が来るのでしょうか?実は、消滅時効が完成しても、それだけでは債権に基づく請求が可能なのです。消滅時効は、完成後に、相手方に対して「援用」の意思表示をして、初めて債権消滅の効果が生じるのです。ここで、「援用」の意思表示というのは、「私は完成した時効の利益を受けますよ」との意思を明確に相手方に示すことです。
■そして、恐ろしいことに、消滅時効の完成後に、「援用」の意思表示をしないまま、「支払います」・「しばらく待って下さい」・「分割して支払います」などといった、債務が存在することを前提とした交渉をしてしまうと、時効援用権の喪失といって、消滅時効の「援用」の意思表示ができなくなってしまうのです。
■そこで、このような場合には、まず最初に、文書で消滅時効の「援用」の意思表示をする必要があります。相手方に到達したことが分かる郵便物として送るのが一般的です。文書にするのは、後で意思表示をしたかどうかの争いを防止するためです。
■このように、消滅時効完成による債権消滅の効果を得るためには、非常に慎重な対応が求められます。ですから、速やかに法律の専門家に相談して頂きたいのです。
■さて、当事務所では、各種法律相談を受け付けています。一定の要件を満たす方については、3回までの無料法律相談をすることもできます。少しでも気になることがございましたら、お気軽にぜひ「法テラス八雲法律事務所」まで相談予約のお電話をお寄せください。
問合せ:法テラス八雲法律事務所
【電話】050-3383-8366
<この記事についてアンケートにご協力ください。>