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[ニッキー、アニッキ―と学ぶ]住んでよし、訪れてよしの観光地づくり(2)

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北海道ニセコ町

◆課題と将来像
(ニッキー)ビジョンでは、ニセコ町の観光の課題として、次の5つをあげているんだ。
課題(1) 観光需要の季節変動
課題(2) 観光経済波及効果の向上
課題(3) 二次交通(域内交通)の機能強化
課題(4) 国際的な競争力の向上
課題(5) 町民の観光に対するコミットメント(理解と参画)
(アニッキー)「旅行者から選ばれる観光地」として重要な課題だ。例えば課題(1)では、観光客に良いサービスを提供するには、働く人の環境を良くする必要があるという考えで、観光の季節変動が大きいと通年での雇用が難しく、働く環境を向上させられない状況を指摘しているのかな。
(ニッキー)その通りだよ。持続可能な観光地になっていくためには、観光客目線だけでなく、地域目線・町民目線も大切だと考えているんだ。2021年に行った町民アンケートでは、将来、観光業で働いてみたいと考える子どもの割合は14・3%、子どもに観光業で働かせてみたいと考える保護者も20・8%と低い結果となっている。コロナ禍でのアンケートだったことも影響していると思うけど、改善していかなければならない課題となっているよ。また、同じアンケートでは、町の発展に観光が重要な役割を果たしていると思う人は85・2%であるのに対し、観光の発展で生活が豊かになると感じる人は38・9%ほどで、結果に隔たりが見られたんだ。観光によるエネルギー消費やごみ排出といった環境への影響に限らず、経済面も含めどう観光が町民の暮らしに関係していくか、それを実感できるかも大切な要素だね。
(アニッキー)なるほど。観光によるマイナスの影響をできるだけ小さくしつつ、課題(2)や(5)にあるように、地域経済への波及効果を高め、町民の暮らしの豊かさや地域へのプラス効果を大きくしていくこと、そして、その恩恵を町民一人ひとりが実感できるようにしていくことも重要なんだな。そのためにも、観光の地域への影響や効果を分かりやすく伝え、みなさんの観光に対する理解や関わりを深めていくことが必要なんだ。
(ニッキー)これらの課題を踏まえ、ビジョンでは、目指すべき将来像を「町民や観光客から信頼される、持続可能な国際リゾート」としているよ。また、3つの地域の姿を定めているんだ(図1)。ここには、町の観光を支える豊かな自然資源を次の世代につなげていく責任と、観光客だけでなく、町民からも愛され信頼を集める、町の暮らしと調和した観光地を目指す決意が現れているんだ。

・ニセコ町観光振興ビジョン(図1)

◆取り組みと財源
(アニッキー)その将来像の実現のため、どのようなことをどのように取り組んでいくんだい。
(ニッキー)3つの基本戦略とそれにひも付く取り組みの方向性が整理されているよ(図2)。これからは、観光ニーズの変化にも対応しながら、この方向性に沿って、観光振興のためのいろいろな取り組みが検討されて、実施されていくんだ。
(アニッキー)確かに、アフターコロナで、観光の状況は大きく変化している。例えば課題(3)の二次交通などはより課題が深刻化しているといわれているね。でも取り組みを進めるには、相当なお金が必要なんだよ。
(ニッキー) 二次交通に限らず、ビジョンに沿った取り組みを継続的に行っていくためには、観光に使える新しい財源(お金)が必要。そこで、ビジョンでは宿泊税を提示しているんだ。宿泊税は、町内に宿泊する旅行者が納める税金で、旅行者によって生じる課題の対策(交通や宿泊施設の環境負荷軽減など)に使われるんだ。このお金で課題解決を図り、観光地としての魅力を高めることで誘客にもつなげていく。世界の観光地では、すでに導入されているところが多く、近くだと倶知安町が導入しているよ。町では8年前から新しい財源の検討をしていて、現在、宿泊税導入に向けた作業を進めているんだ。
(アニッキー)ニセコ町が将来を見据え、町民や観光客により良い観光地となるために、新しい考え・制度を検討しながらチャレンジしていることがよくわかったよ。「住んでよし、訪れてよしのニセコ町」。生まれ育った故郷のニセコ町、そして世界の旅から時々立ち寄るニセコ町、どちらの変化も楽しみだぜ。

・ビジョンの基本戦略と施策の方向性(図2)

問い合わせ:商工観光課商工観光係
【電話】0136-44-2121(担当 川埜・阿部)

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