文字サイズ
自治体の皆さまへ

法テラス江差通信(第160号)

9/32

北海道上ノ国町

■意思決定支援~それはいったい誰のため?~
最近「意思決定支援」という言葉が少しずつ浸透してきました。自己決定に困難を抱える方にとって最善の決定を目指す行為とでもいいましょうか。私も意思決定支援を行う場面に遭遇することがあるのですが、これが意外と難しいのです。
例えば、認知症が進んできたため、頻繁に火の消し忘れや訪問販売被害がある独居の方の支援をしているとします。周囲で支援する人たちとしては、グループホームに入居するのがよいと考えたとしても、本人が「家にいたい。」と言えば、無理やり入居させるわけにはいきません。しかし、独居を続ければいつ火事になるかわかりませんし、訪問販売被害も増えるでしょう。なんとか説得し、本人が渋々了承してくれたとしても、後々「やっぱり帰りたい」というでしょうし、本人が自分のことを決められないというのは、「自己決定権」という憲法に根拠がある権利の観点からも好ましくありません。
ではどうしたらよいのでしょうか。正解があるわけではありませんが、私ならまず、本人に家にいたい理由を聞きます。ひょっとしたら家にいるのが目的なのではなく、何かほかに目的があり、その手段として「家にいたい」と言っているのかもしれません。その場合は、別の手段を提示することで、本人はグループホームへの入居を快諾するかもしれません。
この快諾までの過程が意思決定支援にあたります。意思決定支援の難しいところは本人の真意を探ることも然ることながら、途中で何が「本人にとって最善」なのかわからなくなることなのです。この「嫌だ」は真意なのか?条件付きなのではないか?そもそも本人が「嫌だ」と言っているのに決行することが本人のためなのか?etc.
そんな風に色々考えつつ、本人の権利保護と自己決定の調和がとれるポイントを探っています。有難迷惑と思われないようにすることは、案外大変なのです。

相談のご予約は
【電話】050-3383-5563
までお願いします。
(法テラス江差弁護士 松田 明子)

問合せ:法テラス江差法律事務所
【電話】050-3383-5563

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU