■地域支え合い(共助)について
今月は 生活支援コーディネーター 刀祢 ひさ子 です
少子高齢化や人口減少の時代背景により、特に虚弱な高齢者はさまざまな生活の不安が生じます。
できるだけ住み慣れた地域で暮らしていくためには、介護保険サービスなどの公的支援のほか、地域での支え合いが必要で最近ではますますその重要性が高まってきています。
◇虚弱な高齢者の生活の現状と課題
・公的サービスの限界:介護保険サービスなどは法令によって定められているため、一定のルールで提供されることから対応に限界がある。
・人的資源の減少:人口減少が進み、高齢者などの支え手が不足している。
・孤立傾向:自ら困りごとの発信ができず、地域との接触が乏しい。
このように、加齢により身体の機能が低下してきても、住み慣れた地域で生活していくためにはどうしたら良いか常に考えさせられますが、ここである事例を紹介します。
ある日、地域包括支援センターに一人暮らしの男性について、近所に住む方から電話が入りました。その方は妻に先立たれてから徐々に身なりが乱れ、相談の時点では不潔でゴミ屋敷状態で暮らしていました。
公的サービスにより、家屋環境の整備から介護保険によるヘルパーやデイサービスの支援を受けることで、比較的普通の生活ができるようになりました。
しかし、介護保険サービスのみでは生活の“負”の隙間を埋めることが難しいです。そんな中、本人の生活を心配した近所の方数人が気にかけてくれ、おかずのお裾分けをしてくれる方や見守りをしてくれる方がいたり、お店からは商品の配達と同時に声かけなどの協力が得られるようになったりしたことで、自身の生活に再び安心を得ることができました。
その方は、現在もこれらの支援を受けながら生活しています。
これらの事例を通じて、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)の立場から、改めて「共助」の大切さをつくづく実感しています。何か特別なことをするものでなく、普段の生活の中で自分ができる“気遣い”や“さりげない見守り”などが、受け手にとって、それを提供する側が思う以上の安心につながります。
自らの生活と共に、隣人の生活にも配慮しつつ社会生活を営むことが今の時代に必要なことで、こうした支え合う精神が広がることで「この町に住んで良かった」につながるのかもしれません。
問合せ:地域包括支援センター
【電話】0139-55-4460
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