■政治的関心は自助
残り四半期となった2024年は世界30超の国々で大統領選挙や総選挙が行われる「選挙イヤー」。バングラデシュの総選挙で幕開けした現代民主政治の根幹をなす審判は、いよいよ大一番のアメリカ大統領選挙(11月5日投開票)を迎えます。
民主主義を取り巻く環境は岐路に立たされています。ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ戦争など国際情勢の緊迫化、グローバル化した社会経済の不安定化などにより、世界は混迷の度合いを深めるばかり。人々の心理的不安は増大し、SNSが思想信条を先鋭化させ、世論の分断が進みます。
選挙にもその影響が見て取れ、世界は権威主義的な為政者が増える傾向にあり、国際協調にきしみが生じています。南米では、エルサルバドル大統領が高い国民人気を背景に憲法解釈を捻じ曲げ、1期のみとされている大統領職に再選されたほか、世論調査で圧倒的な劣勢が報じられながら3選を果たしたベネズエラ大統領は大規模な選挙不正があったと批判されています。ロシア大統領選挙やイランとイラクの総選挙では、反体制側人物の立候補を認めずに政権側の圧勝を演出しました。
そのような状況で行われるアメリカ大統領選挙。現職のジョー・バイデン氏に代わり出馬する副大統領のカマラ・ハリス氏は手腕が未知数で、前大統領のドナルド・トランプ氏は自国第一主義を前面に根拠のない主張が目立ちます。この結果いかんで国際紛争や地球温暖化などの世界課題の方向性が大きく変わる可能性があり、私たちの暮らしにとっても重要な選挙となります。
このコラムが届くころにはわが国も解散総選挙の話題がメディアを騒がしているかもしれません。他国の選挙が影響するなら、自国は言うに及ばず。政治的関心を高めることは大切な自助の力です。
対岸の火事ではないアメリカ大統領選挙。
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