■新たな国民病、「慢性腎臓病」について(1)
所長 髙石恵一
所長の髙石です。8月末に村の健康講座で、慢性腎臓病の話をメインとした生活習慣病の講演会を実施しました。「慢性腎臓病」は、最近テレビCMでも取り上げられており、知っている方もいるのではないでしょうか?今回はこの慢性腎臓病のお話を、10月・11月の連月で広報に特集したいと思います。
◇腎臓について
「そらまめ」のような形をした握りこぶしくらいの大きさの臓器で、腰のあたりに左右対称に2個あります。1つ120~150gで、コンビニのおにぎりより少し重いくらい。人間が生まれてから死ぬまで、眠っている間も休むことなく、毎日150Lもの血液をろ過しています。腎臓は細い血管の固まりの臓器で、いわば「血液のろ過装置」です。
◇腎臓の働きについて
(1)尿をつくる
(2)体の老廃物や余分な塩分等を体から排出する
(3)体の水分や電解質のバランスを調節し、体に必要なもの(糖・たんぱくなど)は体内にとどめる
(4)血圧を調整する
(5)血液を作るホルモンを出す
(6)骨を作ることにも関係・・・などなど
体を正常な状態に保つための、大切な臓器です!
◇腎臓の機能が低下するとどうなるの?
腎臓はとても辛抱強い臓器であり、腎臓の機能低下がある程度進むまでは自覚症状が現れず、機能低下が初期の段階では無症状でのことが多いです。腎臓の機能低下が進むと、上記の(1)~(6)などの働きが落ちてしまうほかに、動脈硬化に関わる心筋梗塞や脳卒中などの心臓や血管の病気の危険度が増します。特に心臓と腎臓は血管で直接つながっているため、互いへの影響力が非常に大きく、腎臓がやられてしまうと心臓にも悪影響が及びます。
このように何らかの原因で慢性的に腎臓の機能(腎機能)が低下し続ける状態を、「慢性腎臓病」と言います。20歳以上の約7人に1人、約1,480万人の患者がいると推計され、新たな国民病と言われています。慢性腎臓病はメタボや高血圧との関係も深く、思い当たる方は要注意です。
◎慢性腎臓病は、血液検査で「eGFRが60未満」もしくは「蛋白尿」が、3ヶ月以上続く状態で診断されます。(皆さん、健診結果などを確認してみましょう)
★11月号では、「腎臓を守る(慢性腎臓病の進行を予防する)ための方法」について、具体的にお伝えします。
問合せ:中札内村立診療所
〒089-1332 中札内村西2条南3丁目23
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