■年度末を迎えて
地域やマチにおける転出者と転入者の差を表す「社会増減」という人口データがあります。総務省が年間統計を公表しており、一般的に「社会増」(出ていく人より入ってくる人の数が多い)のマチは活気があると評されます。急速な人口減少が進む中、社会増となる自治体は限られ、2023年は全国1719市町村のうち511市町村(29・7%、増減なし含む)にとどまります。
過疎の進む地域で状況はより厳しく、北海道179市町村のうち社会増を記録したのはわずか30市町村。中札内村はその一つで、5年連続の達成です。景観が美しく、中核都市・帯広市に隣接し、空港まで車で10分、基幹産業・農業は元気で、観光資源も多彩。恵まれた地理的条件と底堅い経済基盤が本村の“活気”を後押ししています。
しかし「村の暮らしは不便」との誤解はいまも根強く、特に子育てや教育で不安を持たれている傾向も。確かに都会と比べてインフラ等で及ばない面はあるものの、小さな自治体の優位性はその不足を補って余りあります。充実した子育て支援メニューや子どもの挑戦を後押しする教育は、質・量ともに国内でもトップレベル。一人ひとりに有効かつきめ細やかなサービスを提供できるのは、人口が少ない自治体の“特権”です。
首都圏では、少子化でも中学受験者数が9年連続で増え、昨年は過去最多でした。子どものより良い未来のためとはいえ、その負担は経済的にも精神的にも小さくありません。「中札内村なら子育てにお金がかからない。苦労は少ない」とまでは言えませんが、子育てに希望を持て、子どもがたくましく育つ村づくりに注力しています。「少子化ストップ元年」を掲げた23年度はこの3月が最後ですが、新年度も足踏みせずに施策を推進します。
子どもたちの成長こそがマチの最大の活気です
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