■日高山脈襟裳十勝国立公園
私たちが普段何気なく見ている風景の一部として、いつもそこにあるあの山並みが、晴れて国立公園になりました。
村とこの山、手つかずの深く広大
で豊かな大自然とは、互いに共生し
時に対立し、常に二人三脚で浅から
ぬ縁(えにし)の糸を紡いできました。
昭和40年から始まった日勝中央横断道路・道道静内中札内線(現道道111号線、未開通)着工促進に際しては、自然保護が強く重要視され、札内川ダムの建設を含む札内川上流域の開発においても、住民生活の向上と同時に環境保護という課題に真正面から向き合い、『必ずある両者の接点』を求める取り組みを村民全員で続けてきたのです。
村歌・校歌にも歌われる日高山脈。陸域面積245,668ヘクタール、海域面積6,510ヘクタール、総面積252,177ヘクタール、大雪山国立公園を抜いて国内最大となる日高山脈襟裳十勝国立公園は、新たな村の象徴であるとともに山と村が歩んできた共生の歴史の、ひとつの結晶でもあるのです。
■「ふるさとの山が国立公園へ」
日高山脈国立公園化
PR事業実行委員会
須賀裕一委員長
旅行でいろんなところに出掛けて行っても、帰ってきて日高山脈を見ると、「ああ、ふるさとに帰ってきたな、やっぱり良い場所だな」という気持ちになります。小さい頃からずっと見ている景色ですが、いつ見ても、何度見ても飽きません。私の大好きな山は、まさしく十勝幌尻岳。中でも、朝日に照らされて真っ赤になる十勝幌尻岳が一番好きで、勝手に「赤ポロ」と呼んでいます。皆さんも、少なからず家や車の窓から日高山脈が見え、場所や季節によって表情が違う山が印象に残っていると思います。
さて、日高山脈の国立公園化に向け、2021年に地元の人が一番のファンになるようなきっかけづくりをということで、実行委員会が発足しました。「ふるさとの山を国立公園へ」をキャッチフレーズに、村民が山のことに興味を持ち、知ってもらうため、様々な内容の講演会を開催してきました。日高山脈と十勝晴れの関係、プレート同士がぶつかったことによる切り立った形の山など、これまで専門知識を持った方や登山家の方には、山自体の印象や素晴らしさを伝えてもらいました。
この日高山脈は、南北に140キロの日本一広い国立公園になりました。このことを契機に、日高山脈のファンを作り、やがて十勝のファンになり、中札内村のファンになってもらえ、行ってみたい、見てみたいというチャンスが生まれると期待しています。そのすぐ側に住んでいて、何も山のことを知らないのはもったいない。だからこそ、これからも様々な角度から理解を深めていき、素晴らしさを知って、自分たちが誇りに思えるようになり、外から来てくれた人にも日高山脈、そして中札内村の魅力を伝えてほしいと思います。
■国指定名勝「ピリカノカ」十勝幌尻(ポロシリ)岳
札内川上流の日高山脈北東部に位置する十勝幌尻岳(ポロシリ)は、アイヌ語で「大きい・山」を意味する標高1,846メートルの山岳です。アイヌの神(カムイ)が遊んだ山であると伝えられ、帯広のアイヌの人々にとって人跡未踏の神聖な山(カムイノホリ)として崇められてきました。
ピリカノカとは、アイヌ語で「美しい・形」を意味し、アイヌの物語や伝承、祈りの場、言語に彩られた優秀な景勝地群を総称するものです。平成24年9月19日、この十勝幌尻岳は、国指定名勝ピリカノカの8番目の構成資産として追加指定されています。
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