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市史編さんコラム「市史の余白」

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北海道伊達市

現在、平成6年に発刊した「伊達市史」以降の歴史を記述した伊達市史続編の編さんを進めています。
令和10年3月の刊行に向けて執筆が始まっており、歴史・文化・自然などについて、執筆者などによるリレーエッセイをひと月おきで掲載していきます。今回は過去の町史から、市史編さんの意義を考えます。

◆第1回 『過去の成果を引き継ぐということ』
監修者 桑原 真人(札幌大学元学長)

市では、昭和24年に発刊した『伊達町史』が、最初の自治体史です。

明治3年は仙台藩亘理領の領主・伊達邦成以下の武士団が有珠地方に集団移住した最初の年であり、それ以来この地で開拓に尽力した結果、昭和24年に「開基80年」を迎えたことを記念するものでした。

しかし、この『伊達町史』には、刊行後「移住当時の辛苦を語るのに急がしく、その社会的意味が充分に把握されていたとはいえない」との指摘が、当時の監修者からありました。北海道開拓の記述では「移住当時の辛苦を語る」だけでは不十分で、北海道への士族の集団移住の意義や社会的影響の考察が不十分であるという意味だろうと思われます。ただ、昭和24年という時代背景を考えると、この指摘はいささか執筆者に酷な気もします。

昭和47年、『新稿伊達町史』全2巻(上、下巻)が刊行されました。これは、昭和46年に「伊達町100年」を迎えたことを記念するものでした。上巻は伊達町の政治・行政分野が中心で、下巻は町の基幹産業である農業を中心に、噴火湾を漁場とする沿岸漁業が補完する形で発展したことが記述されています。流通機構に関する資料不足のために、この点に関する分析が不十分であったとのことですが、これはむしろ町史執筆に対する誠意ある態度であり、後の世代に課題を示しているとも言えます。

現在の私たちが歴史を叙述するにあたっては、このような先人たちの情熱や成果、課題を引き継ぐとともに、新しい史料や観点から史実を見つめ直すことが求められていると考えています。

問合せ:総務課総務係(市役所2階)
【電話】82-3162

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