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さろまげんき王国『こどもの目の発達』

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北海道佐呂間町

人間の視機能は3歳ころまでに急速に発達して6〜8歳頃に完成し、生涯の視力が決まると言われています。また、3か月〜1歳半頃が最も視覚の感受性(脳が反応する)が高く、この感受性は3歳ころまで続くと言われています。そのため3歳児健康診査(3歳児健診)で視力の発達の遅れや眼疾患を早期に発見して治療につなげることが重要です。しかし、子どもの弱視は本人からの不自由な訴えがないことが多いため、日常生活では気づかれにくい特徴もあります。
佐呂間町では弱視の早期発見のため令和5年度より3歳児健診に屈折検査機器を導入しました。屈折検査機器がどのようなものかもあわせて、今月は『こどもの目の発達』についてお伝えします。

■視力の発達
視機能は眼球や脳の発達にともなって乳幼児期に急速に発達します。新生児の視覚路(眼球から大脳まで)は未発達ですが、乳幼児期には眼球と大脳の視覚中枢が発達し急激に視力が向上します。
出生直後の視力は明暗が弁別できる程度の視力ですが、生後3か月頃で「0.05」、1歳で「0.2」、2歳で「0.4」、6歳までに「1.0」程度に到達します。通常の視力検査では、正常に発達している子どもであっても3歳0か月では約半数しか「1.0」の視力に達せず、5歳でようやく8割の子どもが「1.0」の視力に達するとされています。そこで3歳児健診では「0.5以上」を正常範囲としています。

■ものが見える仕組み
外界の視覚情報は、角膜から眼の中に入り、水晶体、硝子体を経て網膜(黄斑部中心窩)に像を結びます。網膜には多数の視細胞があり、光や色を感じ、視神経を経由して脳へ情報を伝えます。網膜が鮮明な像を結ぶために、水晶体は厚さを変え、様々な距離にピントを合わせる働き(調整)をしています。

■弱視について
弱視とは眼科で使われる医学的な意味として「眼球に器質的異常がないか、あってもそれだけでは説明できない低視力」と定義されています。弱視は脳の発育障害であり、弱視になってしまうと眼鏡をかけてもすぐにはよく見えるようになりません。眼球は2つあるため、よりよく見える方の目の視力が先に発達し、もう一方の眼の視力発達は取り残されてしまいます。弱視は感受性のある適切な時期に治療を行うことによって良好な視力を得られる可能性が高いため、早期発見、早期治療が重要です。
▼弱視の原因
(1)屈折異常による弱視
・屈折異常弱視:両眼ともに同程度の強い遠視や乱視による弱視。
・不同視弱視:片眼だけの強い遠視や乱視による弱視。子どもは片眼がよく見えると何不自由なく行動することができるため、日常生活では気づかれないことが多く注意が必要です。
(2)斜視による弱視
斜視により右眼と左眼が違う映像を見ている状態です。左右眼が同時に脳へ異なる映像を送ると脳が混乱するため斜視側の映像を消してしまう脳の働きが起こり、斜視側の眼の視力の発達が損なわれてしまいます。
(3)視覚刺激が遮断される
先天白内障や網膜芽細胞腫、先天緑内障などの疾患があると、中心窩へ鮮明な像を結ぶことができずに生じる弱視。

■屈折検査について
屈折検査とは、屈折異常(遠視、近視・乱視)を他覚的に測定する検査です。
佐呂間町では3歳児健診に屈折検査機器「スポットビジョンスクリーナー」を導入しました。屈折検査機器は目のピントを合わせるために必要な度数(屈折)を調べることができます。視力検査だけでは目の異常を見逃してしまう恐れがありますが、この検査をすることで、視力の発達を妨げる原因がわかることがあり、異常の見逃しを減らすことができます。
スポットビジョンスクリーナーは、カメラで写真を撮られる感覚で検査でき、短時間で検査をすることができます。屈折検査で異常を指摘されたら、眼科を受診して精密検査を受けましょう。子どもの目の病気は本人が不自由を訴えないことが多く、治療が手遅れになってしまう恐れがあります。早期に適切な治療を開始することができれば、子どもの弱視のほとんどが改善すると言われているため、見え方に問題がないようでも必ず早めに眼科を受診してください。

■目に優しい生活を
メディアの各種機器等が急速に発達し普及しており、小さいころからメディアに触れる機会が増え、時間も長時間になってしまうこともあるかと思います。また、保護者もゲームやスマホに夢中になってしまい子どもに向き合う時間が少なくなっていないでしょうか?
令和4年度に乳幼児健診を受けた方にメディアの使用の有無についてアンケートを取った結果、9-10か月健診で使用していると回答した割合は40.0%、3歳児健診では84.8%の家庭で使用していると回答があり、早い段階からメディアに触れていることがわかります。

○9-10か月健診

○3歳児健診

乳幼児期は視機能が発達する重要な時期でもあり、テレビやDVD、特にスマホ、タブレットなどの小さな平面画面を見る時間が長いと視力の発達を妨げてしまいます。スマホをおいてふれあい遊びを取り入れることが大切です。散歩や外遊びなどで子どもの体力・運動能力そして五感や共感力を育みましょう。

問合せ:保健福祉課保健推進係
【電話】2・1212

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