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感動の場・点

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北海道倶知安町

■『静物』1955年小川原脩画
この作品は22センチ×22センチの小さなキャンバスに描かれています。画面のほとんどを占めているのは白いカップとふたつの桃。その周りを茶色の濃淡で塗り分けてテーブルと壁を描き、落ち着いた空間を表現しています。写実的に描かれた桃とは対照的に、カップが不自然に見えるのは、横から見た形と少し上からのぞいて見た形が一つに構成されているからです。そこにはフランスの画家ポール・セザンヌの絵画様式を追求した跡がみられます。
セザンヌは近代絵画の父といわれ、遠近法などの伝統的な絵画の約束事にとらわれず独自の絵画様式を探求し、ピカソやマチスにも影響を与えた画家です。1955年頃の小川原脩はフランスの現代絵画にも刺激を受け、具象を大胆にデフォルメしたものを画面の中で自由に構成するなど常に新しい表現を試みていました。そのモチーフには北海道に生きる人や動物、風景を用いて小川原独自の作品を精力的に発表したのです。素朴な静物が描かれた小さな作品ですが、小川原が試みた新しい絵画様式でモダンな印象に仕上がっています。
文:金澤逸子(小川原脩記念美術館学芸スタッフ)

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