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感動の場・点

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北海道倶知安町

■『ヤク』1983年小川原脩画
ヤクは標高4千~6千メートルの草原、岩場に生息するウシ科の動物です。体重は350~580キロ、心臓は牛の1.4倍、肺は2倍の大きさがあり、ヤクを飼育している動物園はほんの数カ所しかなく、日本でヤクを目にすることはめったにありません。
小川原脩が初めてチベットを訪れた1981年のことです。標高600メートルの中国四川省・成都(せいと)からいきなり標高3600メートルの高地へ移動したため、高山病になりました。そんな高地で出会ったヤクは、大きな珍しい生き物に映ったことでしょう。
画面の上部には小さな建物の集まりが、まるで遠く高い場所にあるように描かれ、大きなヤクが引き立つような構図を作っています。黒く塗られた丸い目に引き込まれます。巨体を揺らしながら乾いた地面を歩く姿は、人との隔たりのない空間で同等の存在であることを主張しているようです。
巡礼者たちが聖地に向かって一方的な流れをつくる中、悠々とヤクも通るチベットの街。人と動物が織りなすおおらかな情景の中で、ヤクは小川原にとって印象的な動物となり、作品に描かれたのでした。

文:金澤逸子(小川原脩記念美術館学芸スタッフ)

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