■倶知安駅の開業 498回
倶知安駅の開業は1904(明治37)年10月15日。前々年から工事が完成した区間ごとに営業を始めていた小樽―函館間の鉄道は、この日、小沢―倶知安―熱郛間の営業開始により全線開通となり、それを祝い沿線の駅では小樽からの一番列車が到着すると祝賀行事が催されました。中でも、初めて汽車が来る倶知安の歓迎模様は「最も盛況だった」と当時の小樽新聞は次のように伝えています。
『羊蹄山の麓(ふもと)、新京都とも呼ばれる倶知安に到着すると花火が高々と打ち上がった。駅前に整列した小学生の一団が万歳の声を上げると、村内から集まった数千人の群衆もこれに呼応して素晴らしく壮観であった。家や店の軒先には国旗と球燈(丸く小さい提灯(ちょうちん))が飾られ、大アーチが設けられた駅前では、相撲や餅まき、踊りなどの披露があり、歓迎の模様は最も盛況を呈していた。倶知安では駅前に物産陳列場を新築し、農産物や工芸品など約500点が展示販売され、初日3,000人、2日目2,000人、3日目800人の入場者があった。』
歓喜に包まれて開業した倶知安駅は、やがて羊蹄山麓の交通の要衝となり、町の発展とともに歴史を刻み、今年120周年を迎えました。
文:紺谷貴之(倶知安風土館学芸補助員)
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