■背伸び消火栓 499回
11月に入り、街中では冬の準備として雪囲いや除雪用具の点検が着々と進んでいますが、通りにある消火栓の形も変わっていることに気付いた方はいますでしょうか。
消防署では、雪がたまりやすく、夏場の高さでは雪に埋もれてしまう場所の消火栓の放水口や開閉用バルブを上に伸ばす器材を取り付けて、冬仕様にしているのです。町内に約200カ所ある消火栓のうち、市街地では約6割、郊外でも約3割のものに1メートルや1.5メートルの背伸び用の器材を取り付けています。設置している期間は10月末から4月頃までです。
この背伸び消火栓は、当時の北海道新聞記事によると、1975(昭和50)年に他の町の開発例を参考にして倶知安消防署で考案した器材で、町内の鉄工所で製作されました。当時は消火栓の会社でも冬対策用のものがありましたが、高額で買いそろえるのが難しかったため、自前で用意することで安価に消火栓を冬仕様にすることができたそうです。
しかし、倶知安は雪のとても多いところなので、翌年1月の新聞記事には「背伸び消火栓、沈没」という記事があり、2メートルくらいに伸びた消火栓も埋まるほどの積雪があったそうです。消防署によると、降雪期は月1回の除雪と大雪時の除雪が欠かせないそうです。
文:今井真司(倶知安風土館学芸補助員)
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