■カエルににらまれるヘビ!?500回
来年はヘビ年なので、今回はヘビの話です。
恐怖で身がすくみ動けなくなる様子をたとえて「ヘビににらまれたカエル」と言います。この言葉から連想するのは、ヘビに出合ったカエルが一方的に捕食されるイメージです。しかし最近、実はカエルが動かないのは身がすくんでいるのではなく、逃げるチャンスを見極めているから、という研究結果が出されました。
飛び掛かって襲うヘビも、飛び跳ね逃げるカエルも、ある程度の「溜(た)め」を必要とする直線的な動きをします。隙ができる溜めが必要な上、相手に読まれやすい直線的な動きとなれば、失敗した時のリスクは大きなものになるでしょう(ヘビはカエルに逃げられ、カエルはヘビに食べられる)。長い時間にらみ合うのは、いわゆる後(ご)の先(せん)を互いに狙った結果ということです。このにらみ合いは、時に1時間ほど続くこともあるようです。これまでにらんでいるばかりと思っていたヘビが、カエルににらまれ動けなくなっていたとは、面白いですね。
食う・食われるの関係を何万年と続けてきたヘビとカエルの共進化。自然の奥深さに驚かされます。
文:小田桐亮(倶知安風土館学芸員)
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