文字サイズ
自治体の皆さまへ

感動の場―点

25/30

北海道倶知安町

■『馬』1963年小川原脩画
ギョロリとこちらを見る大きな目。ガッチリかみあったむき出しの歯。黒くて縮れたたてがみは誇張され、頭から不気味に垂れ下がっています。灰色で塗られた胴体にほとばしる茶色の絵の具は、体毛に絡みつく土や枯れ草でしょうか。前足は地面に刺さる棒のように単純な形で描かれ、馬体を支えるには貧弱な感じがします。腹の真ん中あたりをよく見ると、後ろ足の下描きがみられますが、それを塗らないままこの絵は完成しました。
なぜ小川原脩はこれほど大きな頭の馬を描いたのでしょう。それは小川原が見る人の視線を馬の顔に向けたかったからではないでしょうか。あらためて馬の顔を見ると、むき出した歯茎に塗られた赤い色は恐怖心を与え、白い絵の具を上塗りして鋭く光るように見える目と歯に、誰もが警戒心をもつでしょう。小川原は幼少期に馬にほっぺをかまれて大騒ぎになったことがあります。それ以来、馬に対して畏敬の念を抱くようになりました。馬は臆病で優しい動物といわれていますが「うかつに近づくと痛い目にあう」ということを伝えたかったのかもしれません。
文:金澤逸子(小川原脩記念美術館学芸スタッフ)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU