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北海道倶知安町

■除虫菊の白いじゅうたん-大正~昭和期の除虫菊栽培-495回
除虫菊はキク科の多年草で、和名を「シロバナムシヨケギク」といいます。花の子房にピレトリンという天然の殺虫成分を多く含み、第二次世界大戦後に化学薬品が普及するまで、蚊取り線香やノミ取り粉といった殺虫剤の原料として盛んに栽培が行われていました。
日本では明治中期に和歌山県で栽培が始まり、その後、瀬戸内地方や北海道などに広まると、大正末期には国内生産の約7割を北海道が占めるようになりました。
倶知安では大正初期から栽培が行われ、その後、大正9(1920)年に乾花(ほしばな)の仲買や製品製造を手がける「北辰薬草株式会社」が町内に設立されたことなどもあり、倶知安周辺の羊蹄山麓地域は北海道の主産地の一つとなっていきます。
倶知安での作付面積のピークは昭和10(1935)年の465ヘクタールで、倶知安小学校のグラウンドに換算すると約660個分になります。その名のとおりの鮮やかな白い花が咲く一面の除虫菊畑は、今なら格好のフォトスポットになっていたことでしょう。
その後、除虫菊の生産は、戦争による影響や化学合成の殺虫成分が登場したことで昭和25(1950)年頃から作付けが減り、倶知安の除虫菊畑も次第に姿を消していきました。
文:紺谷貴之(倶知安風土館学芸補助員)

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