■温かく寄り添う心が日常を明るく彩る
Flower(フラワー)Shop(ショップ)Bourgeon(ブルジョン)オーナー 田中(たなか)めぐみさん
一歩お店に入ると、さまざまな花の良い香りが出迎えてくれる『Flower Shop Bourgeon』のオーナー田中めぐみさん。
旭川市に生まれ、高校卒業まで静内町で過ごした田中さんは、小さい頃から外遊びが好きで、森の中で秘密基地をつくって遊ぶ子どもだったと話す。
「思い立ったらすぐ行動へうつす性格で、つくった基地に自宅の布団やフライパンを持ち込んで、母に叱られたことを今でも覚えています」
高校卒業後は、札幌市の専門学校で言語聴覚士の資格を取得。一度地元へ戻ったが、倶知安町で言語聴覚士として働くこととなり、ここでの生活をスタートした。
彼女と花の出会いは、自宅の庭で行い始めたガーデニングで、毎日花と触れ合う中で、次第にのめり込んでいったという。
「花の面白さに気付き、さらに花を学びたいと思ったとき、フラワーアレンジメントに出会いました。きれいに咲いた花の魅力をもっと引き出せることが楽しく、どんどん花を好きになりました」
持ち前の行動力で2020年5月にお店をオープンし、現在は、夫婦仲良くお店を営んでいる。お客さんとのコミュニケーションを一番大事にしていると話す彼女のもとには、さまざまなお客さんが訪れるが、言語聴覚士の経験が役立っているという。
「感謝を伝えるとき、別れを告げるとき、さまざまな場面で花が登場しますが、その瞬間に携われることや花を贈る人の気持ちに寄り添えることがこの仕事の何よりの魅力です。いつも花を贈られる人のことをイメージして花束などを作っているため、お客さんとのコミュニケーションは欠かせません」
フラワーアレンジメントでは、切り落とされて使用できないロスフラワーが必ず出るが、田中さんはただ廃棄するのではなく、月1回開催している花育教室『つぼみ』で活用するという。『つぼみ』では、フラワーアレンジメントや花束の作り方、クイズ形式で花の種類などを楽しく教えてくれる。
「この教室に来てくれる子どもたちは、今はまだ『つぼみ』の状態ですが、好きなことや興味があるものを増やして、いろいろな経験をすることで、いつか花開いてほしいという願いを込め、教室の名前を決めました。また、店名の『Bourgeon』もフランス語で『つぼみ』を意味しますが、私自身もこれからここでしっかり咲き誇れるように頑張りたいという願いを込めています」
小さい頃に経験したことや楽しかった思い出は、大人になったときにふと愛しく思うものだ。
田中さんが愛情込めて育てた『つぼみ』が花開いたとき、日常を彩る美しい花とすてきな笑顔が町中にあふれているのだろう。
※まち ひと しごとは不定期連載です
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