4月からNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」が放送されています。
主人公の猪爪寅子(ともこ)は、日本初の女性弁護士の一人で、後に女性初の判事、家庭裁判所長になった三淵嘉子(よしこ)さんがモデルとなっています。
私はインターネット配信を通じて見始めたばかりですが、相当深く当時の法律や制度の考証がされているため、とても勉強になっています(以下、若干のネタバレがあります)。
さて、「虎に翼」の中では、昭和25年に尊属傷害致死事件に関する最高裁判決が取り上げられたようです。
かつての刑法では、父母や祖父母といった直系尊属を殺害したり、傷害の結果死亡させたりした場合、通常より重く処罰されていました。この規定が、新憲法における平等原則(憲法14条)に反しないか争われたものです。
昭和25年の判決においては、多数意見は憲法に反しないとしましたが、真野毅(つよし)判事と穂積重遠(しげとお)判事(「虎に翼」における穂高教授のモデル)の2名が、憲法に違反するとの反対意見を述べました。
真野判事は反対意見の中で、「民主憲法の力強く宣言した法の下における平等の原則は、果して何処え行つてしまうであろうか」と述べ、これに対し齋藤悠輔(ゆうすけ)判事は「国辱的な曲学阿世の論」と、かなり強い言葉で批判しました。真野判事は、後に「六法全書を投げ合った」と振り返り、非常に熱い論戦がなされたとうかがえます。
この判決から23年後の昭和48年、尊属殺規定に対しては日本で初めて法令違憲の判断が下されます。熱い議論の積み重ねが判断を変えることになったのです。そして、このときの最高裁長官が石田和外(かずと)判事(桂場等一郎(とういちろう)裁判官のモデル?)です。
ようてい法律事務所弁護士 渡邉恵介
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