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感動の場―点

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北海道倶知安町

■『二人』1982年小川原脩画
中華人民共和国チベット自治区の中心都市ラサは、標高4,200メートルの位置にあるチベット仏教の聖地です。信者たちは高く清らかな浄土と呼ばれるラサへ、荒野を歩き山を越え、礼拝を続けながらやってきます。小川原脩がチベットを訪れたのは70歳の時でした。ラサでは中心街にあるジョカン寺の門前で「五体投地礼」を繰り返す信者や、寺の外を取り囲む巡礼路を時計回りに祈りながら歩く信者たちに出会いました。
この作品は巡礼者をモチーフに描いたラサの街角の情景です。画面の上に暗い色が塗られているのは建物の陰でしょうか。人物の下には石段のようなものが描いてあり、街の一角を感じさせる構図になっています。
二人はようやくたどり着いたラサの路上に腰を下ろし、寄り添ってお互いをいたわっているようです。目鼻はぼかしてありますが、慈愛に満ちた優しい表情をしているに違いありません。左右にはゆっくり歩く犬とアヒルが描かれています。小川原は動物をモチーフにして二人を包むやさしい空間と、ゆったりした時間の流れを表現したかったのではないでしょうか。
文:金澤逸子(小川原脩記念美術館学芸スタッフ)

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