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感動の場―点

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北海道倶知安町

■『羆と仔馬』1953年小川原脩画
昨年の夏、この作品が『北海道のお土産物として定着した木彫りグマの歴史を紐解く』という、なんとも興味深い専門書※に取り上げられました。
芸術学の側面から、絵画のモチーフやイメージの中のクマに着目してみると、北海道の画家たちは北海道らしさ、北方らしさを表そうとして動物というテーマに行きつくケースも多く、多くの動物画が描かれてきたそうです。ところが、北海道を代表する動物として多くの人が認めてきたにも関わらず、ヒグマの作品はあまり見当たらないといいます。そのような中、珍しくヒグマを描いた例として小川原脩の作品が登場し、「たおれた仔馬のかたわらで、茫然(ぼうぜん)と佇んでいるかのようなヒグマの姿。ヒグマとウマの関係は判然とせず、捕食者と被捕食者のようにも、なかま同士のようにも、まったく無関係な他者のようにも見える。かわいらしさとも違う。かといって、おそろしさとも違う。寂しげな背景ともあいまって、哀愁とただならぬ不穏さが漂う、独特のヒグマ表現である」と著者の一人、今村信隆さんは述べています。
1950年代初めごろ、北方的風土にモチーフを求め、キュビズム(立体派)を強く押し出した時期の作品だ…と解説することの多い本作ですが、描かれたヒグマに「木彫り熊」が重なって見えてきます。
※「開講!木彫り熊概論歴史と文化を旅する」(2024年発行)は、町公民館図書室で読むことができます

文:沼田絵美(小川原脩記念美術館副館長)

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