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令和5年度 教育行政執行方針(1)

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北海道利尻富士町

令和五年利尻富士町議会定例会三月会議の開催にあたり、教育行政の執行に関する主要な方針を申し上げます。
利尻富士町教育委員会は、教育基本法に定められた教育の目的と理念、そして「利尻富士町教育大綱」の具体的な基本方針をもとに、めざす子ども像を「自然を愛する豊かな心と高い知性をもち、未来を生き抜くたくましい子ども」とし、教育の一層の振興と充実を図るべく令和五年度においてその諸施策を推進します。

■一.未来を生き抜く力〜学校教育の充実〜
これまでの三年間、子どもたちにとっては長くつらい新型コロナウイルス感染症とのかかわりで中学校生活あるいは小学校生活の半分を費やしました。コロナ禍が学校・児童生徒に及ぼした影響は計り知れないものがあります。
その一方で学校デジタル化の加速度的な進展、子どもたちの多様化など、学校を取り巻く環境は日々、大きく変化しています。
このため、令和の日本型学校教育、すなわち「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に実現していくための取組を進めることが重要となっており、利尻富士町では令和五年四月、「りしり富士小中一貫教育」をスタートさせます。
小中一貫教育は小学校から中学校までの九年間の連続した教育課程を編成し、系統的に捉えて一貫性のある確かな学びを創造するものであります。これにより子どもたちは学校での学習内容や学習活動の質的・量的な変化への対応が図られるとともに、小学生が中学校に進学する際の大きな環境の変化を和らげることにより、新しい環境への適応につなげることができます。本町がめざす一貫教育は学校・家庭・地域が一体となって学びを支える体制をつくり、キャリア教育の確立と道徳教育、児童・生徒会活動のつながり、生活習慣の指導など利尻富士町の豊かなつながりをもって進めるものであります。
具体的には平成三十年に小中併置校として生まれ変わった利尻小学校・鬼脇中学校を「施設一体型」と称し、この五年間で培った小中連携の基礎基盤をもとに児童生徒会の一本化や算数・英語の中学校教諭による授業の乗り入れ、日課(時間割)調整による活動時間の共有と縦割り活動の共同化など、一つの校舎であることのメリットを最大限に活かした様々な取り組みとともに教職員全員が同じベクトルで授業改革に取り組み、児童生徒の確かな学力を身につけていく授業づくりを進めます。
また、鴛泊地区は校舎間の距離があることから「施設隣接型」と位置づけ、既に実施している乗り入れ授業の充実を図るとともに中学校と授業のスタートを合わせられるよう小学校での日課調整や教科担任制の導入、さらに児童生徒間の交流を活発化させることで、中学生による運動会や学芸会等の運営支援や発表指導等を促します。特に教職員の小中合同研修を定期的に実施し、児童の資質の共有を図ることにより、学習意欲の定着と確かな学力、協働的な学びによる学習スタイルの統一を目指し、「小中ギャップ」の軽減に結び付けます。
このように本町の一貫教育は両地区の特色を活かし、利尻富士町の「めざす十五歳の姿」を創造しながら九年間を見通した指導の実現とともに学校・家庭・地域が一緒に子どもたちを育てていくことを築き上げます。
現行学習指導要領に掲げられている「主体的・対話的で深い学び」はデジタルを使うことにより、子どもたちの学びが確実に変わってきています。今まで主流だった「先生―子どもたち」というタテの関係だけでなく「子ども同士」というヨコの関係を効果的に進められるようになってきましたが、新型コロナウイルス感染症がもたらした対話的な学びへの影響が効果として十分とは言えません。
本町の一人一台環境にあるICT教育は開始から三年目を迎えます。日常的にアナログとデジタルを活用した学習が本格化し、データや知見による探究的な学習の加速とともに教職員のICTリテラシーも課題となっています。このため、昨年度から活動を始めた「学校デジタル化推進協議会(学校教育DX)」を通じ、ICTの利活用に関する全体的な底上げを図るため、民間コーディネーターの派遣や指導力向上に向けたスキル研修を実施します。
また、令和六年度からすべての小中学校で小学校五年生から中学校三年生に対し、英語のデジタル教科書の提供が開始されるのを先駆け、本町でも「学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業」の参加校として、英語科目を全小中学校、算数・数学は鴛泊小・中学校を予定しています。
さらに本町独自の取組として、中学校の空き教室を活用するなどして小学校五・六年生を対象とした中学校での外国語の授業を展開します。これは児童が中学校へ乗り入れることにより、中学校での授業体験を通した接続の円滑化とともに小学校教員の働き方改革の一環と中学校教員・ALTによる優れたICTコンテンツの活用で鴛泊地区の小中一貫教育の「英語×ICT教育のベストミックス」を推進します。
これから先も警戒感を落とすことなく子どもたちの安全と安心を確保し、学びを保障する取り組みを続けなければなりません。
そのため、感染症への持続的な対応については、四月一日より学校教育活動の実施についてはマスクの着用を求めないことなどが示されましたが、引き続き基本的な感染症対策は重要であることから長期的な視点による感染症に強い学校の実現に向けた取り組みを推進します。また、維持補修による学校の環境整備、校舎周辺の防災機能の充実や通学自動車の小型化による見守りと安全の強化、また道立高校等でも試行的な運用が始まった「学校トイレへの生理用品の設置」を相談体制の強化とともに推進してまいります。
年々増え続ける学校での「いじめ問題」は未然の防止、早期発見・組織的な対応が非常に重要であるとともに教職員全員が意識をもって積極的な認知を理解する必要があり、学校が一体となって取り組まなければなりません。このため、潜在化し認知漏れとなることのないよう「認知件数がないこと」を児童生徒・保護者に公表し、検証するとともに子どもたちが主体的にいじめ問題について考え、議論するなどいじめ防止に資する活動に取り組みます。

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