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自治体の皆さまへ

診療所だより No.297

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北海道北竜町

診療所長 浦本幸彦
■気象病(きしょうびょう)、なんじゃそりゃ
今年は暑かったり寒かったり変動の多い春先でした。北海道はその地理的な特徴から春先の気候の変動は他の地域より大きいと思われます。
昔から季節の変わり目に体調を崩しやすいと言われています。単なる昔からの言い伝えでなく天候(気圧、温度、湿度)の変化による心身の不調は現在では「気象病」として医学的にも関心を集めています。
確かに診察室でも雨が降る前に関節痛がひどくなるなんてお話を聞く事があります。気象の変動により自律神経の働きに乱れが起こり各種症状を来すと言われています。自律神経ってよく聞きますがその正体はご存知ですか?
「手を挙げろ」と言われれば一般の方は手を上げる事ができます。
「走れ」と言われれば手を挙げたまま走る事ができます。おかしな格好ですが思い通りに体を操ることができます。
では
「心臓の動きを早くして」と言われてどうですか?
「体温を上げて」はできますか?
自分の思い通りに操ることはできませんよね。
でも体が勝手に自動調節してくれていますよね。
これが自律神経のお仕事です。
自動的にコントロールする、
自ら律するので自律神経。
うまく訳したものです。
循環器、呼吸器、消化器などほとんどの動きは自律神経が調節してくれています。
その他、体温調節や内分泌や代謝機能、生殖機能などもコントロールします。
ですから自律神経がうまく働いてくれないと体調を崩してしまうのもわかりますよね。
体だけではありません。
気持ちを司るホルモンにも影響が出ますので元気が無くなったり倦怠感を感じたり、些細な事が心配になったり不安が強くなったりします。
そうなんです今年の春先は体の不調より心の不調を訴える方が多い印象でした。
一人や二人なら気付きませんでしたが同時期に複数名が身体不安を中心に受診したので、「気象病」の存在を疑いました。頭痛や関節痛などはご本人も自覚しやすいものです。でも心配や不安を感じたからと言ってそれがホルモン調節異常による気象病かもしれないなんてなかなか思いませんよね。
単純な心配や不安なら丁寧に説明すれば納得して解消するのですが今回は簡単には納得していただけませんでした。それぞれ専門科を紹介し異常の無い事を検査して納得したようです。
自分の説明が功を奏すことが出来なかった悲しさはありますが(笑)こういう疾患群があるという事を感じる事が出来たことが勉強になりました。
ダイナミックで大胆そうに見えていてもヒトの体って繊細でデリケートなんですね。
もちろんお天気がすべての病気に関与なんて事ではありません。

◆北竜町立診療所
休診日のお知らせ
6月21日(水)は午後1時30分より浦本先生が深川市において介護認定審査会に出席のため、午後より休診となります。午前中は診察を行っています。

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〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

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