診療所長 浦本幸彦
■今年(ことし)の抱負(ほうふ)
あけまして
おめでとうございます
今年も皆様の健康づくりのお手伝いに尽力する所存でございます。
干支は辰。辰の漢字の意味は「振」(シン)で「ふるう」「ととのう」の意味があるそうです。
世の中、コロナや紛争などで少し変に動き過ぎたので今年は落ち着いてもらって整ってほしいですね。
正月にその年の抱負を決めている方がいらっしゃると思います。ただ漫然と日々を過ごすのは面白くありませんよね。皆さんも何か抱負(目標、願)を立ててみてはいかがですか?いや大したことでなくて良いんです。ダイエットしてみるとか禁煙を誓うとか、お庭の改造であったり念願の地への旅行であったり人に親切に接するとか笑顔を心がけるとか。
僕も今年の目標を考えていた時なぜか無関係そうなこんな言葉が頭に浮かびました。
「可もなく、不可もなく」
調べますと二つの解釈がありました。
論語の孔子の言葉として信念をもって世俗を捨てた生き方とそうでない生き方について「良いとか悪いとか決めつけない」という意味だったそうですが現代では次の意味として使われる事が多いでしょう。
「良くも悪くもない」
普通、平凡という意味です。
普通、平凡。平均好きな日本人はこの言葉にケチをつける人は多くありません。
平凡に生きる。
他人に迷惑をかけず生きる。
ここまででしたらほぼすべての人が賛同するでしょう。
「でも特に良い事もしない」
と付くとある割合の人々は考え込むでしょう。
普通に過ごす、平凡な日々、望ましい姿です。でも「可もなく」には注意が必要です。
言葉は生き物です。
捉える側によって変化します。言葉の定義の曖昧さも変化を増長させます。
毎日可もなく不可もなく暮らしているは毎日平凡に暮らしていますの意味です。
良い事は起こらないし、悪い事も起こらない毎日です。
でも言葉のルーズさで「良い事は起こらない」を「良い事をしない」の意味にも取っている場合はないでしょうか?毎日特に良い事はしていないけど悪い事もせず暮らしている。「特に」を入れたのでこれはそれほど抵抗なく読めます。でも毎日悪い事はしないけど良い事もせずに暮らしている。この文言だとすんなり受け入れる事ができますか?言葉は怖いですね。
言葉が先行してヒトの行動や思想を変化させる可能性があります。「可もなく不可もなし」を利己的に解釈すると恐ろしく冷たい社会が見えてきそうです。
奥ゆかしく賢い日本人はお節介に慎重です。派手な行動や目立つ行為にも抑制的です。良い事は時にお節介であり派手で目立つ場合があります。
「可もなく不可もなし」では世の中を整える事は難しい気がします。
◆北竜町立診療所
休診日のお知らせ
1月24日(水)は午後1時30分より浦本先生が深川市において介護認定審査会に出席のため、午後より休診となります。
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