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自治体の皆さまへ

診療所だより No.314

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北海道北竜町

診療所長 浦本幸彦
■責任の不在
さて師走。冬本番、一年の終わり。雪との対戦やクリスマス、大晦日と師でなくても慌ただしい季節になりました。
診察室ではよくお話をします。楽しい話や耳の痛い話、少し退屈な話やドキッとする話。患者さんのお話を聴いたりこちらが話したりします。各々の病気により注意すべきことや確認しておかないといけない項目があります。慢性の生活習慣病だと宿題のようなものまであります。高血圧症であれば在宅血圧測定や減塩を中心とした食事療法や運動療法について確認したりします。(患者さんは大変ですね)
ここからが本題です。うちは患者教育がいいのか(オッホン)厳しいのか(ドウモスミマセン)真面目に家で血圧測定をしてノートに記帳して持参してくれる患者さんが多いです。ただし例外さんも勿論います。最初は頑張ってたけど習慣に出来ずに途中脱落するパターンです。
「家で血圧は測っていますか?」の質問には、うろたえた表情を見せます。小学生が宿題を忘れた気分なのでしょう。こちらとしては困惑させてごめんなさいなのですが、患者さんの協力も必要です。責める事はないです。疾患と対峙するチームメイトですから。ただし、より良い治療を望むなら患者さんも責任を全うしてほしいです。
責任なんて重い言葉を使いましたが、実は少し世の中に感じていることがあるんです。令和はネット社会です。昭和世代としてはついていくのがやっとです。でも便利です。調べものひとつでも以前は専門書や図書館で調べなければならなかったことが携帯電話ひとつで解決です。
でも嫌な点もあります。ネットで買い物したりページをめくるだけでセールスのメールが山ほど来たりします。これはかわいい方で犯罪に使用されたりもします。また皆の意見を主張する場で匿名性を利用して人を非難し誹謗中傷する輩もいます。この匿名性ってのが怪物です。パソコンや携帯画面では直接相手を見たり自分も姿を表して会話しません。その隠れ蓑に隠れて罵詈雑言を書き込んでしまうのでしょう。実際に会って話しても同じことが言えるでしょうか。
またSNSの中でも当初は自分の顔写真を全面に出して交流するフェイスブックというアイテムはいまや中高年の道具となっています。若い人はなるべく己の地の姿を表したくないようです。言い訳としてそれほど強い自己顕示はしないよと言う一見スマートな意見のつもりでしょうが裏返せば実は出来るだけ逃げやすいポジション、責任放棄、無責任の表れでないでしょうか。
失敗、ミスを極端に恐れる無菌状態世代の印象を受けます。
オンライン診療も開始されました。
「家で血圧を測っていますか」と聞かれNOと言えずに無言で画面のスイッチを切る時代が来るのではないかと戦々恐々としています。

◆北竜町立診療所
休診日のお知らせ
12月18日(水)は午後1時30分より、浦本先生が深川市において介護認定審査会に出席のため、午後より休診となります。

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〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

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