診療所長 浦本幸彦
■栄養学異聞(えいようがくいぶん)
田植えのシーズンですね。白かった世界も緑となります。僕の故郷の九州と比べると季節の変化はわかりやすいですね。わかりやすいと言えば北海道民の体重も夏と冬でわかりやすく変化しますね。
なんでしょうね、夏の激しい強制肉体労働が健康的に体を引き締めると申しましょうか、冬の熊の冬眠と変わらぬ生活ゆえのわがままなボディと申しましょうか。
診察室で「どうするのさ?」「大丈夫、夏にもどすから」の毎度の問答にも問題点があります。体重計の数値は以前の値に戻すことは可能ですが一度太るという事はそれなりに体は汚れるという事です。体重が戻れば健康も元通りかと思いがちでしょうが、動脈硬化を含め病的な悪影響を多少なりとも受ける事は否めません。それに中年以降は思ったほど夏に体重が戻らなくなってきています。基礎代謝の低下や活動量の低下などが関係していると思われます。
わかった、わかりましたよ。食事量の管理を行えばいいんでしょ?
そうです。ダイエットです。
「ご飯を少し少な目にして、おかずも少し減らすよ」
ズバリこの作戦は失敗します。ダイエットを甘く見ています。食事量が少なくなったせいで空腹を感じる機会が増えるでしょう。食事を減らしたから少しは間食してもエエじゃろと悪魔の囁きに負けます。
間食は減らしたカロリーより多くなる可能性が高く却って体重増加になる可能性があります。
「じゃどうするのさ?食事量減らし過ぎて栄養失調になったらどうするのさ」栄養失調?そこまでできるかな?
量よりバランスの悪さで栄養障害を起こす可能性はあるでしょうが。
ここで私の個人的な考えですが現代栄養学の欠陥をお伝えしたいと思います。よく成人男性は一日に二千何百キロカロリーのエネルギーが必要だ、とか言っていますがあくまでも目安です。そして個人個人の体はそれぞれです。
ギャル曽根ちゃんは相撲取り顔負けのカロリー摂取していますが相撲取りには見えません。経口摂取量と体内への吸収量は異なります。またそれは状況にもよると思います。人の体は大変よく出来ています。経口摂取量が少ない時は体内への吸収量を増やして生存本能を働かすでしょう。
だから少し経口摂取量を減らしたぐらいでは体内へのカロリー摂取はほとんど変化ないのではと私は考えています。
じゃあ「運動で」とお考えでしょうが筋肉量を増やし基礎代謝を上げるは可能ですが体重を減少させる程の消費カロリーを生むエクササイズはプロの運動選手程度でないと継続は困難だと思います。
ダイエットはやはり経口摂取量の管理だと思います。ただし「カラダは食べたもので作られる」内容は重要です。いえ特別な食品がある訳ではないです。コツは温故知新でしょうか。
肥満は現代病だからです。
◆北竜町立診療所
休診日のお知らせ
5月15日(水)は午後1時30分より、浦本先生が深川市において介護認定審査会に出席のため、午後より休診となります。
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