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自治体の皆さまへ

特集-知りたい!!ヒグマ~いまこそ考える、私たちの「ヒグマ情報」(1)~

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北海道占冠村

■ヒグマ情報の実情
村では、日頃から野生鳥獣専門員が中心となってヒグマの活動情報、識別情報を調べています。個体の目視情報、足跡やフンといった痕跡、自動撮影情報など市街地周辺・山林を問わず集計し、ひと月分の情報を翌月の広報紙「野生動物対策の状況」のコーナーや折り込み資料「ヒグマについてのお知らせ」で皆さまにご覧いただいております。
ただ、ご承知のようにヒグマの生態を観察することは容易でなく、得られている情報はごく断片的で、目立つ条件に偏ったものです。また総じて言えることは、すでに「終わったこと」だということです。調べられた時点からヒグマは次の場所や行動に移ってしまい、程度の差こそあれ、具体的な現状推測、未来予測は難しいのが現実です。そのため、村のヒグマ情報は直接的に安全や安心を提供できるものではないのです。
それではなぜヒグマ情報の収集と共有に取り組むのでしょうか。それは過去のヒグマ情報を参考に、私たちがわずかずつでもヒグマという動物への理解を進め、見えざる現状や前途にどんな可能性があるかを考えていくためです。それゆえにあえて危険度などで選別せず、さまつな情報も幅広く掲載しています。

■情報なくともヒグマは居り
村のヒグマ情報では「出没」という言葉を使わないようにしていることにお気付きでしょうか。人間の知覚領域に「出没」して消える幽霊のような存在ではなく、見えていないときもどこかに実在する動物としてヒグマを捉える視点を皆さまと共有したいためです。
本紙右の図は、酪農学園大学の研究チームによる電波標識個体の位置記録です。国道上や住宅周りを幾日も白昼に歩き回りましたが、この間おそらく誰にも見つかりませんでした。時には容易に姿をさらすヒグマですが、一方でかくも巧みに姿を隠すことができたのです。普段は住み分けができているかに思えていますが、実はすでに私たちの動線は重なっており、ただ認識できていないことが多いだけなのです。
そもそも、ヒグマの行動から「出没」を切り取る線引きなど本村では無意味かもしれません。

■「速報」始めます!
令和5年は過去になく人身事故の恐れが迫る年でした。村民の皆さまからもヒグマの出現情報について早急に知らせてほしいとのお声があり、村は、これまでの情報発信に加えて、市街地などにヒグマが出現した際の速報・注意喚起について村ホームページおよび村公式LINE(ライン)にて発信していくことにしました。

▽「ヒグマ要注意情報」の発信について
ヒグマ出現時の速報・注意喚起などを占冠村ホームページ内で情報発信します。また、占冠村公式LINE(ライン)アカウントとお友達登録されている方には、LINEにてホームぺージ上でヒグマ情報の更新についてお知らせします。まだお友達登録をされていない方はこの機会にぜひご登録ください!
※村公式LINEアカウントでは、毎月の広報紙の発行や各種イベント情報について発信しています。本紙左記の二次元コードの読み取りからお友達登録が可能です。

■ヒグマが街に!?そのとき…
村が要注意情報を発しても、インターネットをお使いでない方も多く、お使いの方も必ずお読みになるとは限りません。情報を受け取れないとき、身の安全は図られないのでしょうか。
実は危急のとき、一方通行の速報には補助的な役割しか任せられません。ヒグマが市街地などに侵入してきたとき、村は「安心」よりもまず「安全」を優先し、侵入個体への実力行使、人側の避難や行動制限を実施します。周辺の皆さまへのお知らせは、そのときその場で具体的な行動をお願いしたい方に対象を絞り、電話や訪問など双方向のコミュニケーションで伝達を確認します。これらは危険回避措置であり、情報伝達自体は目的でありません。一方、皆さまに状況をご承知いただき、「安心」や後々の安全のための「学習」をもたらすための情報伝達は、基本的に後回しとはなりますが、インターネットだけでなく広報紙や回覧でもお伝えいたします。
お近くでの要注意情報を受信し、職員から具体的な行動を求められていない方は、とりあえず屋内や車内に留まり、静か聞き耳を立てて次の動きに備えることが大切です。やじ馬行動はやめましょう。もとよりヒグマはその行動が読みきれないので、ヒグマ情報が「ない」と「届いていない」はあまり違いません。状況が分からなくても伝達が遅くても、焦らず構えることが肝心です。

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