文字サイズ
自治体の皆さまへ

小さな本屋のひそひそ話 最終回

8/31

北海道大樹町

■そして本屋は続く
昨年末から帯広市内の書店が閉店するというニュースが相次ぎました。趣味の多様化とデジタル化の波、そして長年頼みの綱にしていた雑誌が売れなくなったことで、書店の経営自体がとても難しいものになってきています。
皆さんは、本が1冊売れると書店がどれくらいの利益を得られるかご存知ですか。一般的な新刊書店の場合、本の粗利益率は20%から25%程度。つまり千円の本が売れたとしても、せいぜい利益は200円程度です。家賃や光熱費、人件費などを鑑みれば店が潰れてしまうのは、当然といえるかもしれません。何もしなくても本が売れる時代はとっくに終わりました。ただ、それを「書店の需要がなくなった」と解釈するのは、あまりに時期尚早ではないかと私は思います。
昨年から弊店を訪れる常連のお客さんは必ずといっていいほど、帯広の書店事情について話をされます。「本屋がないと困る」という声を、これまでにたくさん聞いてきました。加えて、手前味噌ではありますが、弊店では本がちゃんと売れています。2021年から細々と続けてきましたが、今も不良在庫はほとんどありません。出店のたびに本を発注して、その本が出店のたびにきちんと売れていきます。でもそれは、私が特別な能力を持っているからではありません。どうすれば本が売れるのかをよく考え、さまざまな工夫をしながら1冊1冊ていねいに選んでいるからに他なりません。
私が移動書店という形態を選んだのは、固定費がかからないことはもちろんですが、毎回異なる場所に赴くことで、異なるお客さんが来て、本を買ってもらえる確率が増えるからです。また、弊店にある全ての本は、私が責任を持って選んでいるので、どんな本か説明ができます。他業種とコラボしたり、積極的にイベントや企画を立てることで「本との出会い方」の数を増やしていることは、今までもこの場でお伝えしてきました。本屋はこれから努力しなくてはいけないのです。その努力を私は惜しげもなくすることができます。
さて、1年間連載してきたこのコーナーも今月で終わりです。でも、私の本屋は終わりません。気になったらぜひ私の本屋に遊びに来てください!1年間ありがとうございました。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU