●大人の発達障がい(3)
こんにちは、町立病院の薬剤師、寺門です。
今回は、発達障がいの方々への接し方や指導についてです。
接し方の3大原則として「(1)優しく(2)具体的に(3)肯定文で」というのがあります。
この原則は、症状が軽度~重度のどのような状態であっても大原則となります。
何かのトラブルがあった場合、この大原則に反して指導しても、一時的な解決にしかならず、再燃するか、もしくは状況はさらに悪化してしまいます。
発達障がいを持っている方々の言動は社会性に乏しく、一般的には理解し難いためトラブルに発展する事もしばしばです。しかしながら、トラブルを起こした本人は何事もなかったような素振りや、自分が一番正しいとでも言わんばかりの態度を示してきます。その原因としては前頭前野のノルアドレナリンの分泌量が標準よりも少ないとされる先天性の要因に家庭環境や職場環境などの環境的要因が複雑に絡み合っていると考えられていますが、後者の環境要因を整える事で随分と改善される事が、今まで幾例も実証されています。また、前者の先天的な要因については、効果の高い医薬品が存在しているため、実際の治療ではカウンセリングと薬物治療の併用が有効とされています。
話が少し逸れましたが……
これらの事から、発達障がいをもつ方々の周囲の人々としては、怒り、悲しみ、呆れなどの感情が湧き出てきますが、それらを表に出しての接し方は大原則に反するため、周囲の人々の感情コントロールはかなりの忍耐力を要します。
まず、(1)の「優しく」ですが、これが非常に難しい話です。
上記のような態度をとっている人に優しくするというのは、至難の業です。それでも「優しく」からクリアしていかないと、関係性は悪化の一途をたどります。
指導する側が「優しく」という感情のコントロールが出来るようになると相手も心を開くようになり、いろいろな話が伝わりやすくなりますので、「優しく」は非常に大切な事となります。
次に「(2)の具体的に」ですが発達障がいを持っている方々は、抽象的な表現を察する事がとにかく苦手なため、とらえ方も独特です。しかも自分が間違っているとは思っていませんので、解釈はどんどんズレていきます。そのため、最初に出来るだけ「具体的」な表現で伝える事がその先の理解を大きく左右します。
最後に「(3)肯定文で」ですが、発達障がいを持っている方々は根拠もなく自信満々に見える事が多いです。自分が一番正しいと思っているので、否定される事をとことん嫌います。
「~したらダメじゃないか」ではなく、「こうするともっと良いかもね」など肯定文で接することで、その先の会話がスムーズになるのか、拒絶されてしまうのか、が大きく変わります。
上記の3大原則は、子育てや人間関係の構築にも応用されている考え方です。是非参考にしてみて下さい。次回も発達障がいについて、書いていく予定です。
お問い合せ先:天塩町立国民健康保険病院
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