次に、今年の町政についてであります。
今年は、いよいよ町民の皆さまが待ち望んでおりました「奥尻町総合庁舎」が供用を開始します。新庁舎は、現在の本庁舎の機能と分散しております保健センターを一階フロアーに集約し、二階には、議会事務局と災害時の避難場所としても活用できる議場を配置しております。また、新庁舎は、地中熱などを利用した環境に配慮した建物となっています。さらに、老朽化している奥尻消防署を併設し、「強く・柔らかく・便利で賢い庁舎」として、「新生奥尻町」のシンボルとして、スタートします。過去に幾多の災害や困難な時期を乗り越えた奥尻町は、新庁舎とともに、今また、新たな時代へのスタートを切る年となります。新たな時代には、幾多の困難な事柄が待ち受けていると思いますが、私は、町民の先頭にたって町政を担ってまいります。
一方、町立奥尻高校の存続のために、島外からの島留学生を迎え入れる寄宿舎「松風寮」の増築も完成します。完成しますと54名の島留学生が寄宿舎で学生生活を送ることができるよう体制が整うことから、特色ある奥尻高校の魅力を全国に発信してまいります。
次に、町民皆さんが安心・安全に暮らせるために必要不可欠な国保病院の医師確保についてであります。昨年八月末に副院長が退職以降、泉里院長と自衛隊医官などの応援を頂き医療提供体制を維持していることから、常勤医を増員するため、北海道に対し自治医科大学卒業医師の地域医療従事地としての選定と医師1名の派遣を要請しているところであります。要請が実現すると4月から1名が増員となりますので、選定結果に期待しているところであります。
次に町の産業についてであります。
漁業においては、長引く不漁の影響で非常に厳しい状況にありますが、新たな魚類養殖事業として、始めたサーモン養殖については、昨年12月に3回に分けて5千7百尾の養魚を奥尻港湾に設置した2基の生簀に搬入し、産地別と大きさ別の幼魚の成長試験を実施しながら、今年6月に水揚げを予定しています。
また、昨今脱炭素の取組みの一つとして、各地でもブルーカーボンに関心が持たれており、海藻類が見直されてきているところです。当町においても、海藻生産・活用調査検討協議会を中心にホソメコンブなどの海藻類の利活用から脱炭素の取組みを進めてまいります。
一方、農業については、ふるさと納税の返礼品として人気が高い「奥尻ワイン」や日本酒「奥尻」の販売促進に努めるためのPRを行ってまいります。
次に観光についてであります。
観光客もコロナ禍前に戻りつつありますが、町内の宿泊業においては、複数の公共工事関係者などの増加により、稼働率が高い状況になっており、宿泊場所の確保が厳しい状況にあることから、今年の「奥尻ムーンライトマラソン大会」を中止としたところであります。今後も、宿泊場所の確保やボランティアの高齢化などからムーンライトマラソンを実施することが、困難なことから、伊平屋村と締結しております「ムーンライトマラソンに関する協定書」を3月末をもって解除するとしたところであります。今後は、アフターコロナを見据え、各イベントのあり方を検討してまいります。
次に北海道が実施する奥尻地区の信号交差点からフェリーターミナル区間の道道奥尻島線の整備については、6・7年度において物件調査を実施し、同区間の改良整備を進めていく方針であります。
次に、令和4年度財政状況についてでありますが、実質公債比率は、8・8%(前年9・8%)、将来負担比率は、8・4%(前年9・3%)と、早期健全化の目安となる25%、350%をそれぞれ下回っており、良好な財政状況を維持しております。しかし、町の貯金となります財政調整基金積立金は、10億1千3百万円と10億円強の積立基金となっており、脆弱な財政規模となっております。また、奥尻町総合庁舎建設等に係る基金としては、2億9千8百万円を公共施設整備基金として積み立てておりますが、新庁舎建設に基金の取り崩しが決定していることや令和11年度より新庁舎建設に係る償還が始まることから、厳しい町運営が予想されます。また、今後老朽化している奥尻幼稚園や国保病院などの公共施設の更新や大規模改修を実施しなければならない現状にあることから、今後も財政規模にあった新年度予算の計画を立てていきたいと思っております。
結びに、令和6年は、辰年であります。辰年は、「陽の気が動いて万物が振動するので、活力旺盛になって大きく成長し、形が整う」と言われております。また、「成功の芽が、成長し、姿を整えていく」ともいわれております。
本町においては、「新生奥尻町」のシンボルとしての新庁舎の形が整えられ、新たな時代へスタートする年となりますので、奥尻町と町民の皆さまにとりまして、「努力した成果が実を結ぶような出来事が起こり」、希望と輝きに満ちた素晴らしい年となりますよう心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
令和6年 元旦
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