次に、町民の皆さまが安心・安全に暮らせるために必要不可欠な国保病院の医師についてであります。今年3月末には、植村医長が地域医療従事地としての当町での勤務が終了することから、後任医師の確保に努めてきた結果、この度、以前に本病院に研修医として、勤務経験があります「金子司」医師と雇用契約を締結したところであります。金子医師とは、複数年の雇用契約をしておりますので、町民の皆さまが安心安全に受診できる医療体制が、当面の間確保できることとなりました。
今後も、町民の皆さまが、安心・安全に暮らせるように、医療体制の充実に努めてまいります。
次に、今年の町政についてであります。
本年2月には、町長選挙が行われることから、町の予算編成は、骨格予算となりますが、令和7年度予算について、何点か述べさせていただきます。
最初に町の産業についてであります。
世界的な地球温暖化による気候変動により、海水温が上昇し、イカ・ホッケなどの回遊魚の来遊が減少しており、磯根資源のウニにおいても、海藻の繁茂が悪化していることから、身入りが良くない年があるなど、漁業経営は厳しい現状にあります。このため、新たな魚類養殖事業として始めたサーモン養殖については、昨年11月に2回に分けて一尾当たり600グラムの幼魚5千5百尾を奥尻港湾に設置しております2基の生簀に搬入し、産地別の成長試験を実施しながら、今年6月に1尾3キロの水揚げを目指し、試験養殖しているところであります。
また、昨今ブルーカーボンとして、海藻類が見直されてきていることから、民間企業と共同により、奥尻地区海藻生産・活用調査検討協議会がプロジェクト登録申請書兼Jブルークレジット認証申請書を提出したところであります。本プロジェクトは、ホソメコンブを養殖し、全量を残置することで養殖事業における生産活動と同時にブルーカーボンを生み出すことを目指しています。
一方、農業については、4月から新たに函館在住の養蜂業者が本町に移住し、島内において、蜂蜜の生産を試験的に行う予定であります。無事に蜂蜜が生産された場合は、ミツバチの越冬試験を行いたいとの意向であります。本町としては、試験に協力するために、巣箱を設置する町有地を無償提供する予定であります。また、ふるさと納税の返礼品であります「奥尻米」や「奥尻ワイン」のPRも行ってまいります。
次に観光についてであります。
昨年は、「賽の河原祭」「室津祭」「なべつる祭」を一本化し、初めて「おくしりまるごと祭」として開催したところであります。当日は多くの町民で賑わいを見せましたが、今年も、多くの町民が参加できるような祭りを検討してまいります。
また、クルーズ船の誘致を積極的に行い、島の経済の発展に務めたいと思います。
次に北海道が実施する道道奥尻島線の整備についてであります。
長期間の事業となっております「長浜工区」においては、令和9年度完成を目指し整備を進めており、「奥尻工区」においては物件補償など事業を進めております。
両工区においては、一日も早く改良整備が進められるよう、事業実施者であります北海道へ要望してまいります。
次に、令和5年度の財政状況についてでありますが、実質公債比率は、8・2%(前年8・8%)、将来負担比率は、庁舎建設が主による地方債が多額になったことにより、54・6%(前年8・4%)となっておりますが、早期健全化の目安となる25%(実質公債比率)、350%(将来負担比率)をそれぞれ下回っており、良好な財政状況を維持しております。しかし、町の貯金となります財政調整基金積立金は、10億6千5百万円と10億円強となっており、脆弱な財政規模となっております。また、奥尻町総合庁舎建設等に係る基金としては、2億6千8百万円を公共施設整備基金として積み立てておりますが、新庁舎建設に基金の取り崩しが決定していることや令和11年度より新庁舎建設に係る元金の償還が始まることから、厳しい町財政運営が予想されます。また、新年度においては、国保病院の大規模改修を予定しており、老朽化している奥尻幼稚園などの公共施設の更新、さらには、ホテル建設に係る出資金なども予定されていることから、今後は、緊縮財政を柱とし、財政規模にあった新年度予算の計画を立てていきたいと思っております。
結びに、令和7年は、巳年であります。巳年は、「困難を乗り越えて新たな段階へ進む年」と言われております。また、「成長」や「変革」の年ともいわれております。
このことから、固定概念にとらわれず、新しい考え方や方法を積極的に取り入れ、奥尻町がこれからも持続可能な町として存続するために、起爆剤となる「ホテル建設」へスタートする年とし、奥尻町と町民の皆さまにとりまして、明るく希望に満ちた一年となりますことを心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
令和7年 元旦
<この記事についてアンケートにご協力ください。>